前回に続いて、今回は「苫東」の視察報告です。
苫東、旧苫小牧東部開発は、70年代から国の肝いりで開発が進められた北海道の苫小牧東部における大規模プロジェクトでした。
海上輸送拠点としての苫小牧港を擁し、広大な面積、雪が少なく夏は涼しい気候、天然ガスのパイプライン、豊富な工業用水・・・これら恵まれた環境もあって、一大重化学工業の拠点として発展が期待されていたのです。
ところが、重化学工業がオールドエコノミーと称されるようになるなど国内の産業構造が変化する一方、借入金に頼る体質からバブル崩壊が直撃。北海道拓殖銀行の破綻なども影響し、旧会社は97年に破綻へと追い込まれました。
新会社の苫東は、合理化を進めるほか、借入金に頼らない構造に変え、さらに重工長大産業に限らない誘致を行い再生したのです。最近では、メガソーラーの有力候補地としても注目されました。
さらに、東日本大震災で発生した、がれき処理の受け皿・・・として受け入れ態勢を整えている一方、震災を教訓として、この地域を備蓄倉庫や仮設住宅を常に用意し、「もしもの街」として整備する提案も出ています。
各種都市機能の集積を目指す苫東は、1つのモデルケースとして、千葉県で先行き進められる工業団地の整備における参考例になるのでは・・・と感じました。