東日本震災において、地域を守る担い手として重要性が再認識されたのが消防団。地震で道路が寸断されれば、救助車両は現場に向かうのが難しくなり、そこでは訓練を積んだ地域の消防団に頼ることになります。実際、先の震災でも消防団が各地で活躍しました。
現在、千葉県には48団、団員数は2万7000人となっていますが、徐々にその数は減少しています。その背景としては、時間的な問題から参加が難しいサラリーマンの増加や、地域のコミュニティ意識の低下が挙げられるでしょう。
以前記しましたが、消防団の報酬は市川市を例に取ると、一般団員が年額2万6900円。また、1回の出動につき2500円が支払われます。この点から、消防団は報酬目的ではなく、地域を自分で守ろうとする意識が高い人たちのボランティア精神によって支えられてきました。
県では、消防団の活性化を図るために、団員の活動環境の整備について、直接の運営者たる市町村に働きかけ、拠点施設や消防ポンプ車の整備促進を図るために、補助制度を設けています。
ただ、この補助制度に、報酬は対象とされていません。これに関する当局の答弁は「消防団員は心意気でやるもの。報酬が高いか安いかについては議論が多い。国の交付税制度があり市町村に措置されている」で、交付税がある中、重ねて県が補助するのはいかがなものか──というのが見解です。
もっとも、危険が伴うため、団員が殉職した際の補償制度はあります。この場合、公務災害補償金として支給。ちなみに、在籍10年未満の分団長では、小学校、中学校の子供が1人ずついる例で、約2500万円支給されるとのことでした。
(水野 文也記す)