【真実を発信474】介護の現場は大丈夫か? 事業者倒産が過去最高という統計に接して・・

歳を取れば、いつかはお世話になる可能性がある介護・・縁が無いと思っている人が多いのでしょうけど、いざ自分が親の介護に直面した時に、大変な苦労をすることを考えた方がいいかもしれません。そう改めて感じたのは、事業者の倒産が過去最高という統計に接したためです。

東京商工リサーチがこのほど、明らかにした2015年1-10月「老人福祉・介護事業」の倒産状況によると、倒産件数が過去最多の62件となり、これは前年同期比で3割増とのこと。介護報酬が今年4月から9年ぶりに引き下げられた中、事業者の倒産は既に前年の年間件数(54件)を上回り、介護保険法が施行された2000年以降では、過去最悪ペースなのだそうです。介護職員の深刻な人手不足という難題を抱えながら、業界には厳しい淘汰の波が押し寄せてきました。

老人福祉・介護事業倒産の内訳では、「訪問介護事業」が25件(前年同期比19.0%増、前年同期21件)、施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」が24件(同118.1%増、前年同期11件)と倍増。従業員数別では5人未満が41件(前年同期比86.3%増、前年同期22件)と増加し、小規模事業所の倒産が全体の約7割(構成比66.1%)を占めたそうです。

現場の話を聞くと、とにかく取り巻く環境は厳しいと言わざるを得ません。倒産状況が示すように、介護報酬の引き下げで運営が難しくなっているのは言うまでもないですが、人手不足も深刻。体力があるところでは、ニーズがあるため、事業を拡大しようとしても、報酬が低いために人が集まらず、事業を広げることができないケースもあります。今後、介護を必要とする人は増える方向にあることから、”お金”と”人”の両面で、行政が手を打たなければならない状況にあると言えるでしょう。

実をいうと、筆者は政府が設立した国際研修協力機構(JITCO)の外国人技能実習制度に基づいた、外国人研修生の受入の”お手伝い”をしています。本来なら2015年度の通常国会にて、同制度で介護分野が加わるところでしたが、安保国会によって他の重要法案とともにお流れになってしまい、予定されていた来年4月からの介護分野での研修生受入が難しくなりました。

国内事業者の人手不足解消の一役に、そして研修生がスキルを身に付け本国の介護事業の手助け・・これらを実現させるためにも、早期成立が望まれるところです。