本日は、議会散会後に、千葉県議会統合リゾート(IR)研究議員連盟で幕張メッセへ視察に行きました。メッセはこれまでイベントで何度も行き、今さらという感じもする視察先のようにみえますけど、本日は県有施設部分の業務委託先である株式会社幕張メッセの中村社長から経営状況なども聞けて有意義に過ごせたと思います。
何度もこのブログで記した稼働率。話を聞いて少し思い違いがあったので、まず記します。県有施設部分に関して、再三、公債費を吸収できるだけの採算ラインとなる稼働率は60%と書いてきました。
この数字は変わりません。ただ、営業努力で頑張ったところで、稼働率が100%になることはありません。これまでは100%のうち60%と思っていましたが、理論上、物理的にマックスとなる稼働率は、消防法に基づく定期修理による休業、顧客の場所(展示場)と時間(開催曜日)などの部分利用を踏まえれば、65~70%とか。つまり、60%というのはフルに近く、それこそバブル期(これも正確に言えば、当時は東京ビックサイトなど“商売仇”が存在しなかった)はフル稼働状態を続けていたのです。
起債でまかなった建設費の返済については、そもそも、当初から事業のみで償還するというビジネスモデルではなかったそうです。ひと言で言うと、官設民営──となりましょうか。中村社長によれば「官の負担があるものの、それについては経済波及効果も合わせてみて欲しい」とのこと。つまり、官(この場合、千葉県と千葉市)の持ち出しはあるけど、幕張メッセが稼動することで、経済的に周辺が潤うことで存在意義が大きくなる──といったところでしょうか。
少し前の資料ながら、(株)幕張メッセと(株)ちばぎん総合研究所が調査した平成18年の「幕張メッセ経済波及効果調査報告書」によると、同年の国内への経済波及効果は3614億円、雇用創出効果が2万9579人、足元の千葉県に限ると、それぞれ970億円、7269人に上りました。県の出費でこれだけの効果、表現は悪いですけど、7億円余りの元手で県民が936億円手にする──理論上はそうなります。
前回、幕張メッセについて記した際、60%の稼働率は無理で、抜本的改革をと訴えましたが、意義は十分理解できるとしても、現状に甘んじてはなりません。経済効果があるとしても、一般会計から資金を投じているのは事実。平成39年に償還完了とのことですけど、その間、老朽化による大規模改修など必要になるとみられ、何らかの手を打つ必要があるでしょう。議連が進める幕張メッセ近辺へのカジノ誘致などは、その1つとなります。
経済効果について理解を示しても、それはそれで問題も生じています。同じ時期の統計で、東京ビックサイトの経済波及効果は国内約7500億円、東京都約4500億円、パシフィコ横浜はそれぞれ1900億円、700億円。これらの数値で、全体に占める地元の比率を計算すると、ビックサイトが60%、パシフィコが36%に対して、メッセはわずか25%!──せっかくの経済効果が地元に活かされていません。
経済効果を県費投入の理論的支柱とするのであれば、この比率がせめて半分になるとか、地元への貢献度を高めるような運営、施策を考えるのが第一だと思います。他都県に潤う分が逃げてしまう現況では、資金を投じても県民の理解は得られないでしょう。