政策工房、原英史氏の講演

今日は、みんなの党で唯一人の千葉県選出の国会議員である水野賢一参議院議員の政策セミナーに出席しました。

講師は、大阪維新の会のブレーンとしても著名な、元通産官僚で政策工房(株)社長の原英史氏です。原さんは、維新の会が主催する維新塾の講師も務めています。テーマは「これからの改革」でした。

基本的な方向として、「あるべき改革」は「しがらみを断ち、既得権から成長分野で」とした上で、その根幹になるのは(1)公務員制度改革(しがらみを守る役所→しがらみを断つ役所)、(2)地域主権改革(国が決める→地域が決める)──の2点を示しました。「既得権を守り、バラマキ」というのがこれまでのやり方。(1)(2)いずれも形だけの改革となっていたのです。

公務員制度改革に関しては、民主党政権が人件費カットの方策に関し、新規採用7割減と示したことが注目されました。しかし、給与の高い職員を温存し、新規採用を抑えることが改革と言えるのでしょうか。

具体的には、次官の年間給与が2265万円、本省局長が同1724万円、対して25歳の係員が平均284万円──この差から、極端な話、次官級を退職させれば、若い職員が8人ほど雇える計算になります。

ちなみに、大阪市では給与の高い人から引き下げ、それまで10人ほどしかいなかった新規の採用数を来年度から毎年150人採用するそうです。

聞いていて、民主党の新規採用抑制は既得権を守るに他ならず、逆に、働かない給料が高い人(原さんは大阪市では実際に多いと指摘していました)をカット、その分、新規採用を増やせば、若年層の雇用対策にもつながると思いました。

一方、地域主権改革については、みんなの党が掲げた地方自治法の改正案と、自民党と民主党がまとめた案の違いを指摘。みんなの党は文字通り「地域のことは地域で決めよう」とする内容ですが、自民・民主両党の案では「地域で決める」とありながらも、「総務省と協議する」の文言が付け加えられています。

原さんは、せっかく制度設計を地域で決めても、最終的に協議する総務省がOKを出すとは思えず、結局は総務省が事実上、制度設計を行うことになると分析していました。これでは、何ら変わることは期待できません。

もっとも、原さんは「地域主権がすべてばら色とはならない」と述べていました。それは、せっかく各自治体に主権が移っても、しがらみが残った状態であれば、それこそ「シロアリに食い荒らされてしまう」とのこと。ですが、一時的に大変な事態になる可能性はありながら、隣町でまともな改革が進む──となれば、それがやがては横に広がると思われるなど、悲観するばかりではありません。

これは地域事情なども合わせて考える「地域の課題」となりますが、権限が移譲される前に「シロアリ退治」をする──これが私を含めた地方議員の仕事だと思っています。

※ウォールストリートジャーナル日本版サイトにコラムを執筆しましたので、この文章をクリックしてお読みになって下さい。