公務員人件費削減を選挙中から訴えた身から述べると、民主党が進める人件費の削減のやり方は、まやかし以外の何でもないと感じた。
政府は2012年度の国家公務員の新規採用者数を、政権が交代する前の2009年度に比べて56%減らす方針を決めたものの、これは現在職に就いている者の既得権を守る代わりに、公務員を目指す若者に“狭き門”をくぐらせようとさせるもの。採用試験を受ける学生が、この施策に文句を言おうにも何もできない。若年層いじめと断じることができる。
以前、これに関しては、原英史氏の講演を取り上げたが、高年齢層の高い給与をできるだけ温存(時限立法で7.8%削減に動いたが・・・)するのは、民主党が支援団体である労働組合に配慮したためだろう。消費税率引き上げ前の「身を切る改革」と位置付ける総人件費削・・・これで国民の支持を得ることができると政府は思っているのだろうか。
組織論から述べても、新規採用者の大幅削減は愚挙とみることができよう。かつて、日本企業はオイルショックの際、新卒採用を抑制したものの、日本経済がやがて立ち直った際、とくにバブルの好景気下では、一番の働き手である中堅層の人材が薄く、苦しんだ経緯がある。極端に人員少ない年代が存在するため、事業を進める上で不都合が生じるケースもあり、民間企業はそれに学んで、不景気でも一定の採用者を確保できるよう努めたものだ。
報道にあった「中央官庁が抵抗」・・・組織を考えれば当然。しかし、どうせ抵抗ならば「我々は少し我慢するので、その分、新卒を確保して下さい」と同時に言って欲しい。
自らの既得権を守るために、将来的な禍根を残す・・・いや、治安維持のための警察など、足元でも不安を感じさせることになる。ここで取るべき施策は、若年層をいじめるのではなく、既得権の打破だ。