ハラールセミナーに出席

議会閉会日である本日、NPO法人日本ハラール協会が開催したハラールセミナーに出席しました。以下、本日、セミナーで学んだことを中心に記します。

ハラールとは、戒律が厳しいイスラム法で許された項目のこと。主に食べ物のことを指します。海外観光客を誘致するために、“おもてなし”の心が重要なのは言うまでもありませんが、観光のニーズが強いながら、食べ物の関係でイスラム教国から来にくい国とされるのが日本です。

とりわけ、経済成長が著しい東南アジアの中でもマレーシア、インドネシアは、観光のみならずビジネスにおいても、将来的に来訪者が増えることが想定されるため、これらの国から来日しやすい環境を作る必要があるでしょう。その点を踏まえ、私は6月議会で、ハラールに配慮を・・・と取り上げました。

まず、マレーシア、インドネシアと日本の関係ですけど、中国、韓国との関係悪化に伴い、ビジネス進出、観光客誘致などで重要性が増してきました。さらに、後押しするのがLCCの発着拡大。たとえば、LCC利用で日本とマレーシアの往復でかかる往復料金は2万円以内も可能となり、これによってこれらイスラム教国でも海外旅行がしやすくなったといいます。

ただ、何度か、このブログで記したように、食事や礼拝など課題が多く、これらを少しでも解決していかないと、潜在的な来日客数が多くても呼び込むことができません。

まず、食事については、ハラール認証を受けたものを提供すれば良いのですけど、簡単なことではないのです。単に、豚やアルコール飲料などを避ければいいという訳ではありません。たとえば、牛肉でも作法に沿った殺し方をしていないものはNG。豚由来の調味料を使うことはもちろん、豚料理で使用した食器、調理器具はイスラム法に則って洗浄しなければ使えないのです。

食べ物のハラール認証は、素材→加工食品→フードサービス、と段階を追って難しくなり、より厳格に論じれば、日本での認証は難しいかもしれません。しかし、素材としての野菜、魚はOK。牛肉等についても、実際に日本で承認を受けている製品もあるため、工夫次第では無理なく提供できそうな印象です。現実的に難しい・・・では終わらせず、認証団体であるハラール協会も、何とか推進しようとする姿勢が感じられました。

単に、食事の提供といった“おもてなし”の観点だけではなく、新たなビジネスの機会を提供する余地が大きいことも、ハラールを推進することに意味があるでしょう。海外では、既に、取り組んでいるところも多く、お隣の韓国ではサムスンの社員食堂にハラール認証を受けた食事を提供しているそうです。

議会における質問は、観光客誘致の視点で取り上げましたが、まずは経済産業省など政府機関の理解、協力を得て、このビジネスに取り組む中小企業などをサポートする施策を進めてみたいと感じました。実際、セミナーの参加者からも、こうした声が聞かれたのです。

話を聞いて印象的だったのが、19人が参加したイスラム教徒の日本観光ツアーを実施した際の苦労談。たとえば、見学コース1つとっても、春日大社で鹿と戯れた後、東大寺の大仏殿を素通りして次の観光スポットに・・・イスラム教は偶像崇拝を禁止しているので、コースから仏像などがある寺院仏閣を外したとのことでした。ここまでの配慮が必要となるのです。

イスラム教徒は全世界で16億人いると推定され、マーケットが大きいことを忘れてはなりません。また、ハラールでは遺伝子組み換え食品を認めていないため、TPPの交渉に参加したマレーシアと歩調を合わせ、TPPにおいて懸念される「食の安全」を守る・・・など、外交上で1枚のカードになると感じました。

今日のセミナーは2部構成で、私が出席した第2部だけでも50人前後の人が出席するなど、関心の高さが伺えました。

いずれにしても、千葉県は成田空港を擁し、日本の玄関口でもあるので、ハラール推進が重要と思われ、私も県政の場における政策課題として引き続き取り組んでまいります。