県土整備常任委員会の沖縄県外視察

10月31日~11月2日の日程で、県土整備常任委員会の沖縄県外視察に行きました。今年2度目の沖縄・・・1期生、しかも少数会派の立場では視察先を選ぶことはできません。しかし、前回は会派で、エネルギー、津波、コンベンションセンター、文教関連だったのに対し、今回はインフラ整備、別の角度から見ることができ、今後の政策を語る上で大変参考になりました。

視察の途中で、オスプレイが配備された普天間基地を宜野湾市内の高台から見たのですが、実際にそこからはオスプレイが・・・。

沖縄県は、一部では“公共工事天国”とも言われるほど、国からの潤沢な交付金で事業が進められています。事実、暫定2車線開通の道路が間を置かずして4車線化工事がスタート、豊富な資金を背景にした埋め立て工事・・・等々、遅々として地元の事業が進まないのを見ている身として羨ましいと思った場面が少なくありません。視察に参加した議員や県幹部は皆、そう感じていました。

ゆえに、インフラ整備の先進地域として視察先に選ばれた訳ですが、考えてみれば、それは基地問題と切り離すことはできないでしょう。今回は、事業その内容にスポットを当てた視察ですので、ここでは沖縄県の公共事業のあり方については言及しません。ですが、見て回り、基地をなくすと同時に今すぐ公共事業も本土並みに抑えることができるか・・・難しい問題を抱えているを感じたことを付け加えておきます。

視察先は以下の5か所
(1)那覇港泊ふ頭地区(旅客港建設事業)
(2)モノレール旭橋駅周辺地区(再開発事業)
(3)豊見城東道路、豊見城道路・糸満道路(道路建設事業)
(4)中城湾港新港地区(港湾建設、工業団地建設、埋め立て事業)
(5)国営沖縄記念公園(首里城)(文化財復元工事事業)

那覇港の事業は旅客バースを新たに建設するというもの。現在は、貨物と旅客が混在している上に、旅客ターミナルビルがないため、観光客に不便を強いている状況です。

主に中国などアジアからの客船がスムーズに入港できるようにする目的で行われ、総事業費は169億円。旅客ターミナルは平成26年3月完成予定と聞きました。

費用対効果を考えると無駄な事業ではありません。たとえば、上海から客を乗せた3000人以上が乗船する大型客船が入港すると、1人あたり3万8000円使うとか。1回の寄港で1億円以上の経済効果を沖縄県内にもたらします。現在は日中問題が気になりますけど、将来的に入港数が増加すれば・・・大きな経済的な価値を創造する事業とみることも可能でしょう。

再開発事業に関しては、地元業者を何とか参画させようとしたとか。デザインなどの技術面では本土の大手には劣るものの、やはり地元経済を活性化させなければ事業の意味が半減します。沖縄県だからこそ、なおのこと・・・そう言えそうながら、それはどの地方、もちろん千葉についても言えることでしょう。

道路建設に関しては、事業の進捗に関しては前述した通り。一方、技術面では、PC構造など鉄骨は海が近い地形のため、特殊なコーティングが必要で、その分、コストが上昇します。さらに、沖縄独自の要因では、コンクリート住宅が中心のためセメント価格も本土より高い事情も無視できません。それでも、安全の対価としてのコストが必要なのは言うまでもないでしょう。

今回視察した現場がある豊見城地区は、日本でも有数の成長力を誇る地域。道路インフラを整備することで、那覇までの時間が短縮し、そこから一段と人やモノが集まる・・・事業が経済面での好循環を生み出す例を見た気がしました。

新港地区では、潤沢な予算がなければ出来ない事業・・・そんな印象を抱きました。新たに人工海浜を作っているのですが、完成後に北部のリゾートとのすみわけがどうなるのか・・・そんな疑問も残ります。

最後にみた、首里城の復元工事。江戸時代の琉球王朝では沖縄の中心地は首里でしたが、明治維新後に那覇に写ったのと戦火によって、首里城は破壊されました。現在は、守礼門をはじめ、復元が進んで観光スポットとして賑わいながらも、完全な形ではありません。古地図をもとに行う復元作業は困難で、いったん文化財を破壊してしまうと復元には相当なコストが必要になることを理解しました。

いろいろなジャンルの事業を見学した今回の視察、先行きの政策立案に役立てたいと考えています。