【記者魂35】TPP交渉参加、これからが本番

ここ一両日中で最も大きなニュースと言えば、安倍首相がTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加を正式に表明したことだろう。遅きに失した感もありながら、日本が世界の孤児とならずに済む可能性が高まったことで、ホッとしたのが今の気持ちだ。

TPPに関しては、これまで2年間の議員生活を振り返ると、本当に感慨深い。TPP賛成の立場で本会議において討論を行ったのが一昨年の9月。この時は、保守系、左翼系とイデオロギーに関係なく、議場全体を敵に回したかのようにヤジの嵐を浴びたのである。千葉県は全国第4位(当時は3位)の農業生産額を誇るため、改めてこの問題に関する農業関係者のアレルギーが強いと感じた瞬間だった。

同じ年の12月、2度目の討論を行ったが、この時はヤジこそ少ないながら、理解はまったくされない。メールを何通か頂いたが、その多くは反対派から。賛成派や励ましのメールも頂いたものの、それらは数行なのに対して、反対派は長文メールで、誹謗中傷の内容のメールを除き、1通1通丁寧に返事を書いたのを思い出す。今日ある日は、訪れないかもしれない・・・そんな気持ちになった。

さて、TPPに関しての筆者の考え方だが、当然のことながら当時と変わっていない。

詳細については、上の文をクリックして読んで頂くとして、賛成する大きな理由は、(1)経済における国際化の流れは止められない、(2)既得権益の排除・・・の2点である。

よく、論敵から「弱肉強食」を進めるのか・・・などと言われるが、決してそのようなことは思っていない。「弱い者いじめ」ではなく「頑張った者を応援」するのが賛成の趣旨なのだ。

とりわけ、反対の立場の関係者を分析すると、(2)の既得権者であるケースが多い。規制緩和が議論される時もそうだが、何でも自由になれば、既得権が失われるリスクが増大するのだ。

選挙の際、私は「頑張った人、努力した人が報われる社会を目指す。既得権がある人が笑うような政治はやめる」・・・を掲げてきた。自分の選挙公約にTPPを刷り込むことはしなかったものの、TPP参加を訴えることは、公約を守ることに繋がるのである。

もちろん、「弱い者いじめ」にならないように、TPP参加によって弱者が困るようであれば、それに対するセフティネットの構築を訴えたい。ここで重要なのは、弱者を守るのであって、TPPによって失われるかもしれない既得権を守るのではないということである。保健などの金融、医療など心配される分野は確かにあるものの、どうも、反対派からは既得権を守りたい・・・という声が大きいような気がしてならないのだ。

米国の陰謀・・・米国が強い分野に限っての交渉だけならば、その論法も納得できる。しかし、伝えられるところでは、全米の自動車業界は米国政府に日本の参加を容認しないように働きかけているという。困る分野があるのは米国も同じなのに、どうして反対派はこういった相手先にネガティブなことに目をつむるのか。

いずれにしても、TPP参加ではなく、今回は“交渉”に参加すると意思表示したことに過ぎない。日本のガラパゴス化が進まないよう前向きに対処する一方、国民が不利益を被らないようにするために、政府にはしっかり交渉欲しい。これからが本番なのである。