【真実を発信165】東北・三陸地方の被災地視察(2)

ここのところ、諸々の事情が重なり、更新が滞り気味となりました。今回は、東北・三陸地方の被災地視察の続編となります。前回は、視察を踏まえて、公共事業の在り方について言及するともに考察しましたが、今回は復興状況、そのスピードに関して記すことにしました。

復興に関する予算が組まれ、その金額から見た数字の上では復興は進んでいるように見えます。計上されている数字や項目などを見ると、なるほどと思うかもしれません。しかし、現地に足を向けて思ったのは、生活の場において復興はほとんど進んでいない・・・という点でした。

確かに、がれきは片付けられ、分断されていた道路も繋がり、ライフラインも復旧しています。ところが、巨大津波が襲う前に、平野部で繁華街や住宅地だった場所は荒野が広がり、破壊された堤防もそのままという場所が大半でした。前回記した宮古市の田老地区しかり、大槌町、陸前高田市・・・。今もって、多くの人が仮設住宅で生活しています。

民間でみると、鉄道ではJR東日本が線路跡地を舗装してバス専用レーンを設置、BRT(バス・ラピッド・トランジット)を運行していますが、これもすべてではなく一般道路を通るため、解決すべき点が残っています。

これまで報じられてきた記事などから考えれば、復興予算が適正に配分されていない・・・これが、復興が進まない大きな理由の1つになっていると感じました。復興以外にお金が使われることは論外として、三陸地方を北から南に移動して思ったのは、「道路などの基幹的なインフラがはじめにありきで、街づくりは後回しになっている」です。

現地に行けば、わかることですが、各地で復興道路の建設が急ピッチで進められていました。これらの建設が東北地方に経済効果をもたらしているほか、災害への”備え”として機能するとみられることから、復興道路そのものを否定するものではありません。しかし、仮設住宅で我慢して生活されている方を思うと・・・街づくりにもう少しお金を回せないかと感じます。

何枚か、写真を掲載してわかるように、生活の場という意味での復興は進んでいません。今回の視察で回った場所は、あくまでも被災地の一部分かもしれませんけど、こうした実態を知らせることも視察に参加した私の役目ではないか・・・そう思い、もう一度強調しておきます。生活者にとっての復興は遅れていると見ざるを得ません。

震災から2年以上経過し、被災地の様子が報じられることが少なくなりました。私たちはこの現実を知るとともに、復興予算が生活者のために適正に配分されているか否かを、チェックする必要があると思います。

さて、その遅れている街づくり・・・遅れているがために、今後の街づくりにおいて、懸念が生じてきました。津波に流された低地においては、前回も記したように高台移転などの施策が練られていますが、そのほか、低地を土を盛るなどしてかさ上げして、津波による被害を軽減しようとしています。10mほど標高を人工的に高くすれば、巨大津波が押し寄せても、東日本大震災のような壊滅的な被害にはならないでしょう。

ところが、こうした事業を待ちきれずに、低いままの土地に家や事業所等を再建している例が少なくありません。それを再度、建て直すという訳にもいかず、かさ上げ工事を進めると凸凹に・・・街づくりを進める上で、これが問題になる可能性が高いのです。

高台移転についても、たとえば商店の場合、元の場所で商売したいと希望する人も少なくないなど、住民の間で意見が分かれているとの声もありました。

このほか、犠牲者が所有していた土地に関して、相続が複雑化していることも、街づくりが遅れる要因になるとの見方もありました。たとえば、ある土地をかさ上げ事業の対象にしようとする場合、その土地に何人もいる相続人のうち1人でも反対した場合、どのようなことになるか、想像できるでしょう。その一画のために事業が遅れる可能性が出てきます。

こうした問題、被災地で復興事業を進めるために収容しやすくするために、特措法など何らかの施策を講じる必要があるかもしれません。予算の問題だけではなく、解決すべき問題がたくさんあります。

次回は、見学した仮設共同店舗について記します。