東北被災地視察シリーズの第3弾。今回は、宮古市田老地区の共同仮設店舗「たろちゃんハウス」の紹介です。
既に、前回までに記しましたが、宮古市田老地区は“万里の長城”と呼ばれた堤防を越す想定外の津波で大打撃を受けました。当然のことながら、街にあった商店街も大きな被害を受けたのです。聞けば、当時、任意団体としてあった田老スタンプ会加盟の商店39店舗のうち残ったのは2店舗だったどうです。
しかし、住民は負けていません。震災直後の一昨年5月には商店街が早くもテント営業で再開、「たろちゃんテント」としてオープンし、住民の生活の場として復活しました。その後、共同組合を設立、同9月には復興支援事業(現在は管理団体の宮古市が組合に運営委託)として2階建てプレハブ3棟の「たろちゃん」を開設したのです。
グリーンピア三陸みやこの敷地内に開設されましたが、同じ敷地にある407戸の仮設住宅、約1000人の住んでいる人の生活の場として欠かせない場であるのは言うまでもありません。
入居しているのは22店舗。被災前の加盟39店舗のうち、廃業した店舗だけではなく、人口減少が商売に影響するとのことから他地域に移転した店舗もあったそうです。
イベントの実施などで売上高を増やす努力をしていますが、震災前との比較では、多くの店が6~7割程度の売り上げになったとか。それでも、3店舗は以前より繁忙となったそうで、中でも、地元の人が起業した手作りグッズの店舗は全国に販売に行くなどの努力が実り、賑わいをみせるという嬉しい話もあります。
ただ、田老地区の復興は進まず、不安定な状態が続いています。今後の街づくりに関して、入居22店舗の中で考え方が分かれ、それも課題になっていくでしょう。
住民の考えは、(1)高台での営業、(2)元の場所での営業、(3)店舗を集約してコミュニティーセンターとして営業・・・の3つのパターン。3番目の店舗集約は、震災以前から人口減少による先行きへの不安があった点を踏まえての意見だそで、現時点ではこの意見が最も希望が多いそうです。
共同組合理事長の箱石英夫氏によると「にぎわいの場を作りたい」とのこと。さらに「仮設住宅に住んでいる人の気持ちを考えると、行政サポートが必要」と訴えていました。こうした話を聞くと「インフラ復旧優先、街づくり後回し」という印象が一段と強くなります。