【真実を発信228】県土整備常任委員会の県外視察で北海道へ(1)

6日から8日の日程で、千葉県議会県土整備常任委員会の県外視察で北海道に行きました。今回はその報告です。

視察行程は初日が、道の駅サーモンパーク→道の駅マオイの丘公園→札幌駅前地下歩行空間、2日目が、小樽港湾事務所みなとの資料館→北海道自動車道天狗山トンネル工事現場→小樽運河→モエレ沼公園→札幌市大通駅周辺地区、3日目が、道の駅花ロードえにわ・・・でした。

昨年の委員会視察は沖縄県で、本土とは異なる体系で事業が行われ、様々な事業の現場を視察しましたが、北海道も国土交通省の地方支分部局との位置づけで北海道開発局があり、国交省だけではなく農水省管轄分も含め、国の事業が執行されているという点から、公共事業の在り方を考えると言う意味で、北海道は沖縄とともに現場を視察する意味は大きいと言えます。かつ、札幌など大都市圏に経済が集中する一方で、地方との格差が心配されるということで、東京に近い県西部に人口が集中する千葉県に共通する部分もあり、事業の進め方に関して参考になると言えるかもしれません。

さて、工事現場から記すと、夕張郡長沼町にある道の駅マオイの丘公園から、道央連絡道路の工事現場を展望するとともに、長沼町の水害対策などの事業の説明が印象的でした。

道央連絡道は苫小牧港、新千歳空港から石狩湾新港、小樽港へ向かうアクセスを向上、道央自動車道のバイパス的な役割を果たし、全道の約6割が発生している道央都市圏での渋滞を緩和させることが期待されています。ルートは、札幌市内を迂回する格好となっており、全線開通の際は、現在は125分かかる夕張ICから石狩湾新港が91分に短縮される見込み。物流の効率化、利便性という意味で圏央道に通じるものがあるでしょう。全長80㎞のうち残りの未開通部分は30㎞となっています。

長沼町でみた工事現場は、盛り土の部分が完成。この地域は広大な平野に位置するため、トンネル区間がほとんどなく、千葉県の事業においては工法が銚子連絡道を建設する際の参考になるのでは、との声が委員の間から出ていました。また、長沼町では以前から千歳川の氾濫による大規模な水害に悩まされてきた経緯があり、巨大な遊水池を建設しようとしています。

一方、県土整備部のマターではないのですが、長沼町では農地の集約化を進め強い農業を目指す、国営農地再編整備事業が南長沼地区で平成23年から着手されています。現況、0.3~0.5haの狭小な圃場を集約し2.3haの大区画圃場の整備を計画。営農集団の連携によって、効率的な機械化作業により、労働力や生産コストの軽減が図れることになります。

既に、長沼町では、営農戸数が減少するのと反比例して1戸あたりの経営耕地面積が拡大するなど、集約化が進んでいますが、大区画化、営農集団の連携により、活力ある地域づくるを目指しています。年間約4000人が利用する宿泊農業体験などグリーン・ツーリズム事業も推進。6次産業化へも取り組み出しました。TPPが議論される中、現場ではその対応が行政も関わる形で進められているのです。

2日目に訪れた小樽港湾事務所において、初代事務所長である廣井勇技師による北防波堤建設(1897年)をはじめ小樽港建設を学びました。ここでは、日本の土木の歴史を知ることができます。とりわけ、この北防波堤は供用開始から1世紀以上、経過しているのにもかかわらず、今もって現役、堤防としての役割をしっかり果たしています。当初は50年持てば・・・そう劣化が心配されていたものの、実際には100年持っている訳で、コンクリートの寿命を考える上で貴重な参考例となるでしょう。

その後は、北海道横断自動車道の天狗山トンネル工事現場を視察。現在、開通している小樽から余市に向かう事業の1つです。通常は、両側から掘削していくところが、このトンネルは余市側出入り口の用地買収が思うように進まないため、見切り発車的に小樽側より片側のみで掘削。完成すると2978mの長さとなります。

前編となる今回は土木工事を中心に視察内容を記しましたが、後編となる次回は再開発、公園、道の駅などを記します。

なお、今回の北海道視察は、行き帰りとも成田国際空港の発着でした。現在、成田の国内線はLCCを除くと、国際線との乗り継ぎが中心ですが、千葉の行政に関わる者として、目的先に成田便がある場合、極力、成田空港を利用するようにしたい・・・そう考え日程を組んだことを付け加えておきます。