【記者魂57】市川市の「ゆるキャラ」を考える

みんなの党所属地方議員の“自称論客”として、普段は議会において行政改革や成長戦略など堅いテーマを中心に吠えている私だが、やわらかいテーマについて語れない訳ではない。今回は地元の市川市の「ゆるキャラ」について論じてみよう。

千葉県では県のマスコットキャラクターである「チーバくん」ほか、県内各地には成田市の「うなり君」、佐倉市の「カムロちゃん」など各自治体に数多く「ゆるキャラ」と言われるキャラクターが存在する。中で、現時点で注目度、人気度で圧倒しているのは、お隣の船橋の「ふなっしー」だろう。

ここでは「ふなっしー」が公認であるのかないのか、或いは船橋市から感謝状が贈られかどうか、などということは論じない。少なくとも言えるのは、船橋の知名度を上げただけではなく、我が街市川が「市川のなし」とブランド化に心血を注いだ梨が、産地として船橋の方が有名になってしまった点だ。この驚愕的な事実を、行政をはじめ私も含め地元の関係者は真摯に受け止めるべきである。

市川市にもキャラクターが存在しない訳ではない。代表的なのは、市が市民マナー条例のキャラクターとして平成22年にお披露目された「マナーマン」と「マナりん」。これらは、市のホームページで活躍する姿を見ることができる。

また、市川市の観光協会のツイッターを見ると、すぐにお目にかかることができるが、市の観光PRを行っているキャラクターとして知られるのが「てこなちゃん」だ。

これら市川のキャラクターはいずれも、市川市に「どれだけ貢献しているか」を考えると、寂しいものがある。マナーマンやマナりんは、市内でマナーの啓発活動でそれなりの役割を果たしている様子が伺えるため良いとしても、観光をPRする役目を担っている「てこなちゃん」はどうだろう。観光と言うのであれば、市外の人間がどれだけ知っているかが重要・・・それを示す統計等見ていないため、確たることは言えないものの、少なくとも船橋市から非公認ながら感謝状まで送られた「ふなっしー」に比べて貢献度が低いのは確か。そして、目的を果たしていないのならば、「てこなちゃん」のあり方について改善を図るべきと考える。

探してみたら、キャラクターに関する質問は市議会で取り上げられていた。平成23年9月議会において、越川雅史議員の質問について当局が答えた答弁が以下である。

当時の議事録より。

発言者:笠原 智企画部長
「今後のキャラクターの活用についてお答えいたします。 施策の周知や啓発活動におきましてキャラクターを用いることは、世代を超えて情報が伝わる、こういった大きな効果が期待できるものと思われます。特に市民に浸透したキャラクターであれば、その効果もより高いものであると考えられます」

「このため、キャラクターを印刷物や着ぐるみで活用して、多くの方の目に触れる機会をふやすことで、これまでアピールをしてまいりました。しかし、さらに多くの市民の方々に受け入れてもらうためには、ご提案いただいたような市民からの反響を呼び起こす工夫も大切である、このように考えます」

「これまでにないキャラクターの活用方法といたしましては、今月17日でありますけれども、市外で行われた観光イベントにおいて、市の6種類のキャラクターを登場させて、観光アンケートを通じたシティセールスも行っております。今後は新たな発想、そして新たな視点を取り入れまして、ご提案のありましたナッシー、ノリピー、こういったものも視野に入れてキャラクターの活用を研究していきたいと考えております。 以上であります」

キャラクターの活用と答弁にあるが、本当にこれまで市当局はきちんと研究を行ってきたのであろうか?これまで、とんと新たなキャラクターを作成するといった声は聞かれない。そうこうしているうちに「ふなっしー」に、市川の梨という“お株”というか”貴重な資源”まで蹂躙されてしまったではないか。

もっとも、私は貴重な予算を投じてキャラクターを導入するのであれば、市川市の知名度、キャラ自体の人気を向上させることを一義的に考え事業として行うべきとまでは思っていない。

そもそも市が大きな予算を投じた訳ではない「ふなっしー」に張り合うことで始め、目論見通り成功すれば良いが、まったくの不発になった場合は税金の無駄遣いになる・・・ギャンブル的な要素が強い事業は避けるべきなのだ。正直言えば、私も市川市民として「ふなっしー」の後塵を拝することが歯がゆいし悔しい。しかし、こと予算を付けて活性化を考える事業としては、慎重になる必要がある。

じゃあ、どうすれば・・・新しい市の“公認キャラクター”を作成するという前提で話を進めると、私は現状における「ゆるキャラ」について、市の事業で行う場合、前述した「市の知名度向上、キャラ自体の人気向上」といった目的ではなく、市民としての「一体感を出す、帰属意識、アイデンティティを高める」を目的に行うことが良いと考えている。

市川にゆかりのあるものとして、手児奈は使用済み、梨は強力な”類似品”が既に存在するためNG。そうなると、やはり、あしらうのは「松」が一番ではなかろうか。筆者の拙い考えを述べれば、名前は市川とひっかけ「市松クン」などどうだろう。「市松クン」のガールフレンドに「マツコちゃん」が居て、それはマツコ・デラックス氏に宣伝させる・・・そのくらいの際どい発想があって良いのではないかと思う。その作成を依頼するのは、そう、「チーバくん」を生んだ市川市出身の坂崎千春さんという最適な人がいるではないか。

作成したキャラクターは、当初は全国にアピールするのではなく、市川市内で活躍させる。市のありとあらゆるところに顔を出させる・・・たとえば、市職員や議員は率先してバッジを付ける、各家庭の表札にシールを張って貰う、市の公用車にペイントする、「広報いちかわ」のタイトル横に印刷する、各地の盆踊りや祭りなどにやたら出没する・・・とにかく、市のどこに行っても、このキャラクターに会えるようにするのだ。そこまで徹底しないと、市の一体感を出すために作成しても意味はないと私は断言しておく。

既存のキャラクターを活かす・・・そう当局の中には考えている関係者がいるかもしれない。それなら、なぜ、「マナりん」「てこなちゃん」・・・これまで前面に押し出してこなかったのか?

たとえば、これらのバッジを胸に付けた市川市の職員に幹部以下、お目にかかったことは一度もない。千葉県の場合、「チーバくん」バッジを森田知事や県の幹部は、県章の代わりとして胸に付けている。私ら議員もそうだ。議会中継を視ればわかるが、森田知事が答弁する際、フラワーホールに付いている赤く輝くチーバくんバッジに注目して欲しい。

私などは県外に出る際、「チーバくん」バッジを付けるようにし、遠方に視察に行く場合、お土産として持参することもあるほどだ。それだけ、県の関係者は「チーバくん」の売り込みにトップ以下、積極的に努めているのである。行政が本気で取り組むのであれば、どうすれば人気化するか・・・という前に、キャラクターについての問題意識を、職員1人1人が持つことが重要だ。

最初から、アイデンティティを目的にするのであれば、人気が出ようが出まいが、また、「ふなっしー」のように話題にならずとも、市民の間に溶け込めば、それだけで十分。悪評プンプンとなり、本八幡や行徳の居酒屋あたりで、「あんなキャラだめだ」「市川の恥だよ、あれ」といった具合に酒の肴なっても構わない。悪いイメージでも市民の間で話題になるだけで当初の目的が達成されたことになり、それはそれで決して税金の無駄遣いとはならないのである。

マスコミに「『ふなっしー』が生まれた船橋のお隣、市川市では対抗してゆるキャラを作成したところ、市民の間で悪評が高く失敗!市長も頭を抱えています」などと報じられれば、もっけの幸い・・・それだけで市川の知名度は上がろうというものだ。これくらいの遊び心、懐の深さを持って行政は対処して欲しい。

逆に人気が出たらどうするか。それこそ、全国に向けて売り出すチャンス、市外・県外に売り出していく・・・なんていうことを絶対にしてはいけない。逆なのである。間違っても、これまでの人気ゆるキャラと同じことをしてはいけない。「市松クン」と「マツコちゃん」は市川市民、或いは市川市に来た人以外は相手をしない高ビーなキャラなのだ。

市川市民のためのキャラであり、総武線に描かれ江戸川を渡ったチーバ君のようなことは決してしない“門外不出”のキャラ・・・着ぐるみに会いたければ、市川市を訪れればいいのである。そうすることによって、キャラ目当てに市内への来訪客が増えれば、観光大使としての役割を十分果たしたと言えよう。

先行者、しかも、それが隣人である場合、同じことをやっては、生み出されるものはチープになる。「全国的な人気は二の次で市民だけのため」「人気が出ても門外不出に」・・・市が本気で、キャラクター作成の取り組むのであれば、発想を変えて取り組むべき・・・1人の市民としてこのように提言したい。