平成24年度決算審査特別委員会の5日目は12日に開催されました。審査したのは、農業水産部、出納局、病院局の3部局です。
まず、農林水産部ですけど、三番瀬に関わる浅海漁場総合整備事業で、三番瀬における埋戻しの効果について、スズキの漁獲など漁場の改善につながったとの答弁がありました。また、議論されているラムサール条約の登録に関してですけど、登録した場合、漁場が悪化することはないとの見解を示しています。
東日本大震災以降、注目されている農水産物の放射能汚染に関しても問い質されました。出荷制限などで苦しんだ農漁業関係者が少なくありません。その出荷制限の状況についての質問に対し、農産物は出荷制限されておらず、1市でゆずが出荷自粛になっているとのこと。水産物については、すべての海産物は国の基準である100ベクレルを下回り出荷制限されていませんが、問題は内水の水産物で、うなぎなど4品目が制限されています。また、林産物では原木のしいたけが出荷制限されていると答えていました。
首都圏などに県産品を売り込む首都圏マーケティング事業というのがあります。ここでは、情報収集のため出先機関を設けている大田市場で森田知事のトップセールスやデパートでの催事開催など実績があるのですが、対応しているのが青果物。どうせ、行うなら水産物も一緒に行うべきとの意見が委員の間から出ていました。
農業の担い手では、新規の農業就労者が前年は100名増加の416名だったことが明らかにされました。このうち、農家の子弟が201名、農外参入が215名。現在、貸付で行っている就農支援資金について、より就農しやすい環境を作るため、補助金で行うべきとの意見も出ています。他方、ちばの6次産業化チャレンジ支援事業は、8事業体で実施。機械導入などを行い、利用した事業体の中には、加工品生産が約3倍に増加したところもあるとか。6次産業化への取り組みは今後も積極的に進めるべきと考えています。
さて、昨日付け千葉日報のトップ記事にありましたように、私の質問はまず、強い農業を作るという意味で「世界に飛び出せ千葉の農産物」事業を取り上げました。この事業の成果として、輸出販売先に関し、タイ、香港、台湾など東アジア、東南アジアとしたのが当局の答弁。輸出額は、平成24年度で約115億円と約40億円の増加となったのです。内訳は水産加工品が約82億円、植木類が約34億円ですが、輸入制限措置の影響もあり、野菜類は6000万円から50万円に激減。国内のみならず、海外向けについても風評を払しょくしなければなりません。
TPPを意識すれば、農産品を輸出することは重要な課題になります。私が政策として取り組んでいるハラールは、25年度から商工関係の予算に組み込まれましたので、今回の決算審査でハラールを取り上げることはしませんでしたけど、戦略的輸出先としてインドネシアや、知事が来年に訪問を予定しているマレーシアはイスラム教国でもあるので、今後は輸出関連の事業でハラールは不可欠になってくると考えられます。今後も、県産の農産品や水産物の輸出に関し、予算を獲得して積極的に取り組んで欲しいと要望しました。
農林水産部における私のもう1つの質問は、JAバンクをはじめ農協、漁協の金融機関としての経営に関してでした。強い農業を作ると言う意味で、産業に血液を送る役目を金融機関が果たすとのと同じで、JAバンクは体力をつけることが求められます。農協や漁協の在り方については、改革が必要と思っているものの、農業・漁協振興のためにはこれら金融機関としての役割の部分は強くなければならず、そうした観点から問い質しました。これに関する事業としては、農業協同組合指導検査費が計上されています。
まず、聞いたのは県内農協・漁協の平均自己資本比率は何%かという点でした。農協の平均は15.95%で、最高は24.71%、最低は10.14%。新漁連は12.20%というのが平成24年度の平均値です。
BIS基準で自己資本比率は国内専業で4%以上、国際業務で8%以上が最低ライン。リーマンショックのように経済情勢や金融情勢は、いつ変化するかわからない点はありながらも、JAバンクは国内業務が基本であるため、最も体力が劣る組合でも現状、問題ないことが答弁によって明らかになりました。来年3月末から適用される新国内基準(リスク・アセット÷コア資本≧4%)についても「万全の態勢でクリアできる」と当局は強調していました。
繰り返しになりますけど、農林水産業を発展させるためには、農漁協の体力強化が重要ですので、今後もこれらの経営について、適切な監督、指導を行って欲しいと要望しました。
以上で農林水産部の審査に関する記述は終わりで、次回は出納局と病院局の2局を取り上げます。