【真実を発信370】博多港の長期構想・・・県土整備常任委員会視察(1)

22日~24日の日程で、千葉県議会県土整備常任委員会では九州を視察しました。毎年、この時期に行っている県外視察で、具体的に訪れたのは博多港(福岡県)、熊本市スマートシティ事業(熊本県)、国道3号バイパス工事現場(福岡県)など。今回は初日に訪れた博多港に関して記します。

博多港は、国内にある港湾拠点の中で、アジアに最も近いのが博多であり、その点を踏まえてビジョンを示しています。平成24年に博多長期構想を策定しており、その説明を受けるとともに、コンテナターミナル、国際ターミナルを見学しました。

私は議会で木更津港の国際バルク戦略港湾化に取り組み、県内鉄鋼産業の国際競争において優位に立てるよう働きかけていますが、港湾の整備について今回の説明を受けて、拡充は地理的な条件、地域の産業を考慮して行う必要があると改めて感じました。周辺自治体と協働して進めることが重要なのです。

さて、博多港ですが、物流に関しては国際海上コンテナ取扱量が平成25年に87万TEUと過去最高を記録しました。本年も対前年比で約1割増で推移(1~6月の速報値)するなど、順調に拡大しています。先述したように、アジアに至近という絶好のポジションにあるため、そのダイナミズムを取り込んでいると言っていいでしょう。

その運営は、平成5年(1993年)に第3セクターとして設立された博多港ふ頭株式会社。施設を行政から借り受ける形で運営しており、その形態は「管理者の港湾運営」にとどまらず「経営型港湾運営」にシフト、その結果、設立以来、すべて黒字化を達成してきました。

ライバル視される上海やプサンが「積み替え」の比重(4割程度)が高く、ハブ港湾として拡大を目指していますが、博多の場合、輸入は地域の生活品、輸出は地域産業(例、久留米のブリヂストン)・・と背後にある九州経済を支えています。冒頭に示したように、港湾と都市側の連携があって、発展が望めると言えるでしょう。

一方、国際ターミナルは、一昨年に那覇港を視察した際と同じく、大型観光船が入港した際の受け入れ体制の整備が課題としていました。同港は、国際乗降客数が平成25年に63万人と21年連続で日本一となりましたが、そのメインはプサンと結ぶ高速船やフェリーの旅客・・ところが、最近では外航クルーズ需要の増大で、一度に何千人もの入国審査を行うため、ターミナルの拡充が喫緊の課題になっています。背後に観光地を控える港湾にとって、共通の項目とみていいかもしれません。

博多港では平成26年には9月まで既に68隻が入港。こうした状況を踏まえ、平成27年春にはクルーズターミナルを供用する予定でいます。

長期構想の基本理念は「アジアの中で輝きを放つオンリーワンのみなとづくり」・・物流、人流、そして環境を考慮、平成23年12月に博多港は国際戦略総合特区に指定されたことも踏まえ、今後は成長するアジアの港の一員としてネットワークを拡充し存在感を高める一方、アジアの成長と活力を取り込む最前線のみなととして我が国の持続的な成長に貢献することを目指しています。