【真実を発信461】70代以上が宣戦布告・・・都構想投票で世代間の戦い鮮明に

注目を集めた大阪都構想は、17日に行われた住民投票によって僅差ながら反対多数で、消滅することになりました。

制度設計に関して様々な批判等がありながらも、既得権を打破するために旧態依然とした制度そのものを変えるチャンスを失ったのは確かでしょう。間違えがあれば修正されればいい・・制度というものは「ゼロ」と「1」では天と地との開きがあります。「ゼロ」となったことで、二重行政をなくすきっかけが無くなったとの印象を抱きました。

民意は民意です。なので、結果は受け止めなければなりません。大阪市の方が選んだ結果なので、外部の人間がとやかく言うことではなく、今後、大阪で起きることは大阪市民が納得し、後で「やっぱり」と思った時は、その時は手遅れになっているかもしれないながら、変えればいい訳でしょう。また、「あの時、選んだ結果で良かった」となれば、それで良いと思います。

官民のことを同レベルで語ってはいけないと批判する方がいらっしゃるかもしれませんけど、民間企業で務めた際、”改革をしないと会社がダメになる”という場面を経験しました。

赤字続きで、やがては倒産してしまう・・大規模なリストラを敢行しようとしたところ、リストラの対象となる勢力が巻き返し、進めようとしていた改革をリセットしてしまったのです。そのリストラ、改革が最後のチャンスだと思っていました。

現状を維持しながらの別の改革を、その勢力が用意した訳ですが、根本的な収益構造を変えるものではありません。改革推進派だった私は、その後見切りを付けて別の会社に移り、それからしばらくしてに民事再生法を申請することになりました。後の祭りで巻き返した勢力の方たちは、リストラ時のような手厚い退職金の上積みもなく、もっと困ることになったのです。

リストラを巡る”分岐点”では、利害関係が対立したのは当然です。メスを入れねばならなかったところに入れられなかった・・構造がダメなら直さねばなりません。そのことは官民も同じでしょう。大阪都構想は、その貴重なメスと思っていました。

他にも指摘している方が多いですが、今回の投票で注目すべきは、出口調査で示された世代別の投票。70代以上の「反対」が他の世代に比べて際立ち、30代、40代が改革を求めていたという事実です。

「福祉切り捨て」はもちろんいけません。ですけど「無い袖は振れない」状態であれば、「切り捨て」は許されないまでも、ある程度の「我慢」は必要なのではないかと思います。「我慢」しなかったため、結果として「切り捨て」を余儀なくされる・・これではいかんと思うのですけど、現実の政治、選挙では受け入れられるのは難しいでしょう。それをハッキリ示したのが今回の投票結果でした。

誤解を恐れずに言えば、今回の投票は「70代以上」の世代が、明確に闘うことを他の世代に宣言、「宣戦布告」した格好になったと思います。これまでの”人を選ぶ”選挙でハッキリしなかったことが”制度を選ぶ”選挙でわかりました。ある種のタブーのようになっていた政策における「世代間抗争」・・都構想の否定は残念に思うものの、それが明確になったことだけでも、今回の住民投票は意味が大きかったのではないでしょうか。