株価が堅調に推移している。今日の東京株式市場は小緩んだものの、日経平均は1万円台をしっかりとキープする格好となっており、基調の強さに変化は感じられない。
どこが転換点になったのか──直近6か月間のチャートをみると、前日比208円高を記録した2月15日を境にして動きが一変したことが理解できよう。この日の上昇を演出したのは、前日の2月14日に日銀が追加緩和策を発表したことに他ならない。
それまでも、世界的な金融緩和に支えられ各国株式市場の上昇に刺激を受けてきたものの、日銀のアクションがダメ押しとなった格好。ジャブジャブの余剰資金をバックに、国内株式市場は一段の上昇が期待できる状況となった。
株式市場は半年先の経済情勢を読むという。この経験則に従えば、おそらく先行きの日本経済は回復が見込めることになる。ただ、それが一般の生活者が実感できる景気回復になるとは限らない。
今世紀に入ってからの景気回復局面では、日本では需給ギャップが大きいため、金融を緩和しても設備投資に資金が回らない一方、給与が増えても先行きに対する不安から消費行動が活発化することはなく、「実感なき景気回復」と言われていた。
今回も、この間で構造的に変革が訪れた訳ではないため、金融市場にマネーが止まり、生活の場に資金が回らない──そうなる可能性が十分あるだろう。
もっとも、株価が上昇すると「資産効果」が生じ、これが景気に寄与してくる。そこで消費が活発化すれば、その分の効果は見える形で出てくるかもしれない。
足元の企業業績は悪く、回復するのは半年、1年先になると、税収の落ち込みが懸念され、筆者は議会で2012年度予算に関して、税見込額の下方修正が心配と当局に対して質問した。しかし、この「資産効果」によって、消費税が多少なりとも上向けば、見込み額を達成できそうな気がする。
一般の生活者が実感できない景気回復──それが良いと言うつもりはない。しかし、県税収入を少しでも押し上げる効果を生じさせる点については、注目すべき好材料とみていいだろう