※以下は、ハフィントン・ポストに掲載されたコラムです。
9月2日に埼玉・千葉両県を襲った竜巻とみられる突風は、大きな被害をもたらすとともに、被災者を支援するための法律に不備があることを浮き彫りにした。
埼玉県では日を置かず、被害があった越谷市に対して、住民の生活再建を支援するため最大で300万円を支給する被災者生活再建支援法を適用することを決定。一方、川を挟んだ野田市に対して千葉県は、同法の適用は難しいとのことから、被災者の支援に後手を踏んだ格好となったのである。
越谷、野田両市を襲った竜巻は同一のもの。にもかかわらず、対応に大きな差が出た。千葉県の名誉のために記すと、この間、県がサボっていた訳ではない。竜巻が襲った2日後に、政府の調査チームとともに森田知事は野田を訪れ、その場で政府関係者に対して被災者支援の要望を行っていた。
なぜ、埼玉、千葉両県で対応に差が出たかというと、同法に示された適用要件が、野田市への支援の前に壁として立ちはだかったのである。同法の適用要件は全壊家屋が10棟以上ある市町村とあり、10棟以上だった越谷市は要件を満たしたが、野田市は1棟であるため見送られた。
繰り返すが、被害をもたらしたのは同じ竜巻だ。被害状況をエリア分けではなく、全体で1つの災害とくくるといった要件の緩和を訴えたが、こうした被災地の声は国に届かない。結局、千葉県は国から出来ないとの通告があったことを受け、国の制度に準じて全壊住宅に対して最大300万円の支援金を支給するとともに、半壊住宅に対しても撤去する場合は最大300万円の支援金を支払うという独自の支援策を打ち出した。
同じ災害でありながら、住んでいる場所が異なるだけで、支援を受けられる人とそうでない人が生じる──こんな理不尽なことがあって良いはずがないだろう。
東日本大震災で液状化が問題になった時と同じように、支援法は竜巻の被害にも対応し切れているとは言い難い。地震や津波は”面”で被害が生じるものの、竜巻は”線”で拡大。今回の竜巻は幅が約100m程度と推定されるが、通過する直線上が住宅密集地であるか否かで被害規模がまったく異なることから、エリア分けで語ることは意味がないと言える。
竜巻も液状化も、同法が施行された段階では稀有な例であったため、そこに設けられている基準は、これらにそぐわないものとなっており、今回の竜巻でも対応しきれないということが露呈された。その点を踏まえ、急ぎ、実情に合った法整備を行うべきと考える。
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