政策面で議席をお預かりして以降、千葉県の成長戦略について取り組んできました。ハラールの推進もその1つですが、そこで重要なのは、いかに県産品を国内、海外を問わず県外に売り込んでいくかでしょう。
ところが、千葉は森田知事の言葉を借りれば「ポテンシャル」が大きいにもかかわらず、ブランド力が弱いために、たとえ全国レベルでトップ商品であっても、より売ろうとするためにはその構築から始める必要があります。何度も記してきたように、千葉は一大消費地である東京に隣接して、何もしないでも”ある程度は売れてしまう”のが、その理由ですけど、ブランド力を高めて売ろうとする自治体が増えている現状を踏まえると、いつまでもそうした甘えは通用しません。
国内はともかくとして、海外に売る場合は、よりその作業が重要になるでしょう。日本国外で、“千葉”の知名度は?・・・ほとんど無いとみた方が良いと思います。逆に考えれば、日本からみて外国の州・省・道・県・郡・都市について、首都や歴史的に有名な地名を除けば、なかんずく地方に関して知らない人が大半だと思います。
そうした意味で、森田知事が外国を訪問して、千葉についてアピールするのは意義が大きいと言えるでしょう。国内でも良いと認知される県産品は、当然のことながら、海外での高い評価が得られるのは想像に難くありません。クールジャパンにおいても、千葉には大きなポテンシャルがある・・・これを活かした施策を行うのが議員としての役目だと思い、今後も取り組みます。
さて、クールジャパンという言葉についてですけど、思うに言葉の意味を誤解している方が多いのではないでしょうか。代表的なものとしては、アニメなどコンテンツがすぐに思い付くと思います。確かに、日本の発信力を同時に行うという点において、コンテンツはシンボリックであるため、これらが重要な地位を占めることはわかります。
しかし、クールジャパン戦略とは、内需減少等の厳しい経済環境の中で、自動車、家電・電子機器等の従来型産業に加えて、衣食住やコンテンツをはじめ、日本の文化やライフスタイルの魅力を付加価値に変える、いわば「日本の魅力」を事業展開すること。クリエイティブな部分において、日本企業の海外需要開拓・拡大を本格化させるための戦略なのです。
日本発の商品がブームになることで、それが波及して業界全体が潤う・・・そう記したらわかりやすいでしょうか。たとえば、アニメなどは1つの作品がブームになることで「日本のアニメは面白い」→「次のアニメも見てみたい」となります。最近、和食が世界文化遺産に登録されましたが、これなど関連する食材・調味料などの輸出拡大が期待できる一方、「本物を体験したい」といった感じでインバウンドの拡大に繋がることも想像できるでしょう。
先日、政府系ファンドで、クールジャパンを進めようとする事業体に出資する目的で設立されたクールジャパン機構の役員にお話しを聞きましたが、先行きクールジャパンで有望な分野として「食」「住」を挙げていました。豊富な農産品、海産物を要する千葉は、その意味からも進め方によっては“大化け”する可能性があると考えられるのです。
ただ、中小企業や農家、漁師の方たちは、クールジャパンとして世界に発信するものがあり、自ら売り出したいと思いながら、ファイナンスの不安から踏み出せない・・・これが現状ではないでしょうか。そうした方のために、クールジャパン機構を利用して頂きたいと思いますが、千葉県が本気で取り組むのであれば、政府系の機関だけではなく県独自のファンド設立が重要。私はこれを政策として提案したいです。
こうした施策のケースでは補助金の支給を考えるところかもしれませんけど、厳しい財政なども合わせ考えれば、民間からも出資を募って、官民ファンドで対処するのがベター・・・クールジャパン機構も現時点で、政府出資300億円、民間75億円の出資構成となっています。
さらに、資金だけではなく、ノウハウが必要であるため「クールジャパン千葉」と称するような、商社機能を有した直轄の官民出資企業の設立などもいいかもしれません。なかなか、現状、そこまで踏み込むことは難しいと思いますけど、行政として取り組むのであれば、“本気度”を形で示す必要もあるでしょう。
おそらく、こうした政府系ファンドの存在を知らない事業者も多いでしょう。”口利き”という意味では決してなく、千葉の県産品を海外へ・・・と考えている事業者に、クールジャパン機構を活用して頂きたいと思っています。