昨日、石崎市議が主催する勉強会、「共に学ぶ会」の第4回が行われ、小野次郎参議院議員が講演しました。テーマは表題にある「危機管理と政治の役割」です。
小野先生は、鹿児島県警本部長をはじめ、長年、警察官僚としてご活躍された後、政界に転身されました。小泉内閣では、総理秘書官(危機管理担当)を務められた経歴もあります。筆者は開会の挨拶で、先生を「危機管理担当の秘書官を務められ、危機管理の専門家として今日の話を楽しみにしている」と紹介したのですが、先生は秘書官としてよりも、二十数年に及ぶ警察での生活で、危機管理に対する考えを培った・・・とおっしゃっていました。
小野先生の話は、目からウロコの連発です。まず、危機管理そのものについて、何か起きた時に備えるためのマニュアルで対応が可能なのは本当の危機ではない・・・マニュアルで対応できないのが、本当の危機であり、そこでいかに対応できるかが本質的な危機管理で、そして、不確実な情報をもとに判断するのが政治家・・・とのことでした。
確かに、情報が共有化され、マニュアル通りに動けるのであれば、対応ができるのですから、本当の意味での危機ではないでしょう。その場合、役人はエビデンス・・・「証拠」や「権限」「法令」などに目が行き、抽象的に言えば“乗り越えられない”ため、そこを超えて判断するのが政治家ということになります。役人に多く見受けられる前例主義が、危機管理を阻害要因になりますが、物事をエビデンスで考える人は危機管理ができない、との結論づけは、1人の政治家として筆者も肝に銘じようと思いました。エビデンスではなく、インテリジェンス(情報)をしっかり掴み判断する・・・これがあるべき姿です。
また、危機管理の具体例として、ダメージコントロールを挙げられていました。
起きたことを無かったことにはできません。その時は、ごまかせてもいずれは・・・となれば、そこで新たな危機管理が必要になります。隠ぺいなどはその骨頂と言えるでしょう。事実を明らかにすれば、ダメージを被ることになりますが、それを隠そうとして批判を浴びれば、さらにダメージが広がります。起きてしまったことは無くならない・・・その時点でのダメージが「5」であるなら、「10」に広がらないようにするのも危機管理なのです。
最近、注目されている大津のいじめ問題・・・政治の視点で言えば、この論点からすると、越市長や大津市教育委員会(この場合は教育長か)、学校側は危機管理を失敗したとみることができます。明らかになった事実からは、隠ぺいした可能性が高いと見ざるを得ませんが、百歩譲って隠ぺいしたつもりはないとしても、自らの動きが隠ぺいしたと思われる可能性を考えていないことは言動などから明白で、それだけでも危機管理に対する意識が希薄と言えるでしょう。
小野先生は「越市長は第3者委員会を設立すると言ったが、そもそも教育委員会が第3者委員会ではないのか」と指摘。蛇足的に記せば、教育委員会が機能してない・・・それを図らずも露呈した格好です。
話を元に戻すと、とにかく、隠ぺいなどせず事実を明らかにすることが重要・・・そう先生は説いていました。私は選挙で放射能問題を語った際、「住民の不安を解消することも政治家の役割。本当のことを知らないから不安が大きくなる。知れば不安は小さくなるので、そのために真実を伝えることが重要。真実を発信することを実行し続けたい」と訴えましたが、小野先生の話を聞いて、その考えは間違っていなかったとの意を強くしました。
危機管理について理解を深めることができただけではなく、その点でも今回の講演を聞いて良かったと思っております。「真実を発信」・・・私の一番の政治姿勢ですが、県政の場において、今後も“発信”し続けます。