早いもので、6月議会において一般質問を行ってから、1カ月余りが経過しました。同議会一般質問の内容に関する記述は今回が最終回となります。仕組み債に関しては、事情があって質問の前に取り上げました。今回は、その肉付けとなります。
既に、千葉県の4つの外郭団体が購入した仕組み債131億円の時価評価は99億円、含み損は32億円と記しましたが、これだけ額が大きいと、挽回は難しいと言わざるを得ません。当局によれば、満期まで保有すれば、元本が保証されるというものの、そのまま〝塩漬け”状態にした場合、運用に支障をきたす恐れが生じると思われます。
そこで私は「満期まで保有すれば元本は保証されるというが、団体によっては途中で資金需要が生じると思うが、支障はないのか」と質問しました。
それに対して当局は「各団体が保有する資金については、各団体において、事業運営に支障が生じないよう検討の上、運用しているものと考えています」と答弁。注意したいのは「考えています」との言い方で、明確に「ありません」と否定していない点でしょう。おそらく執行部でも、これだけ運用状況が悪化しているとは思っていなかったと考えられます。
ちなみに、4団体ですが、これは、私学教育振興財団、千葉国際コンベンションビューロー、かずさDNA研究所、千葉県漁業振興基金で、このうち、含み損が大きいのは、私学教育振興財団の16億6000万円、千葉県漁業振興基金が13億円。運用資産全体に占める仕組み債の比率は私学教育振興財団が26.9%、漁業振興基金は約3分の1となっていますが、資金の性格上、安全運用が求められる中で、、このような高い比率は考えられません。
県がまとめた公社等外郭団体の改革方針の中には、その課題として、千葉県私学教育振興財団は「今後、退職者の増加が見込まれるが、各学校法人等の負担金率の増率は困難な状況となっているので、財団の資金運用の効率化等により、経営基盤を一掃強化する必要がある」とあります。効率化を進めるあまり、焦って「高利回り」に飛びついたのでしょうか。
同じく改革方針の中で、千葉県漁業振興基金の課題として「為替相場が大きく変動する中で、資金の効率的な運用とそのリスク管理について、バランスを図っていく」とあるのですが、実際は、真逆のことが行われていた訳です。しかも、同基金はプロと称する運用担当理事の指導の下、運用が行われていたとか。それで、どうしてこのようなリスキーな運用を行ったのか、理解に苦しみます。私学教育振興財団に至っては、運用機関として体をなしていなった様子で、今年に入って慌ててプロジェクトチームを発足させたとのことでした。
済んだことを責めてばかりでは仕方ありません。ここで必要なことは、責任をどう負うのか、今後はどう対応していくのか、2点になると思います。
民間企業で、こんな運用結果を出そうものなら、外資系企業ならまずクビ、国内企業でも処罰の対象になるでしょう。身分保障を盾にして、責任を誰も取らない──こんなことは許されないと思います。真面目に働く先生の退職金がかかっているのですから。
そこで「多額の含み損が発生した仕組み債運用に関して、責任の所在はどこにあるのか」と問いましたが、答弁は「各団体が保有する資金の運用については、 法令や国の基準等の範囲内で、各団体の責任において判断すべきものですが、資産を預かる者としての責任を果たす必要があり、慎重な対応が求められるところです」と、明確な言及を避ける格好となりました。
今後の対応に関しては、運用規制ということが、他の議員などからも聞かれましたが、それだけでは十分とは言えないでしょう。個々では挽回が難しい資金状況、さらには、当局による監督の甘さ、責任の所在のあいまいさも背景にあると思われるので、私は出資比率など課題は多いながら、外郭団体の資金運用について、一元化した運用機関を設立、県が直轄で運営すべきとの政策提言を行いました。
他方、この質問と前後して、仕組み債で巨額の含み損を発生させた兵庫県朝来市の場合、売り手の金融機関に対し、損害賠償を求める裁判を起こす議案を市議会に提案、本会議で可決し、その後、提訴に踏み切りました。
私は「買い手の責任も重い」と思うため、提訴に踏み切ることは好ましい判断とは思いませんが、こうした裁判に持ち込むことも含め、今後について、真剣に議論していかなければならないと思います。
この点を踏まえ「金融機関に対して提訴することも選択肢として考えているのか」と質問したところ、「各団体が保有する資金の運用については、基本的には各団体の責任において判断すべきものであり、提訴するかどうかについても、各団体において判断すべきものと考えています」とした上で「まずは、各団体における資金運用の実態を 十分に把握した上で、対応してまいります」としました。
いずれにしても、公金の運用、リスク管理をきっちりと行う必要があるのは言うまでもありません。今後も、この問題に取り組んでいきます。