【真実を発信81】仕組み債の質問で起きたことの顛末・・・一般質問より(番外)

今回の一般質問では、妨害される事態が生じました。このことを許すつもりはありません。これについて、私は当時の伊藤和男議長に対して、自分の考えをまとめた意見書を提出。「真実を発信」する一環として、また、顛末を知りたいという声もありますので、その文面を公開します。なお、この件に関しては、あくまでも個人(網中肇議員)の行為であり、会派間の問題とはしませんでした。そのため、意見書には議員が所属する会派の名は一切記しておらず、会派には責任は生じないものと思っております。

           答弁内容が事前に報道された件に関する意見書

6月20日に私(水野文也)が行った「仕組み債について」の質問をしたところ、前日の19日、当日の20日の新聞に、私の質問に対する当局の答弁と同様の内容が記事として掲載され、事前に漏えいする形となった。
20日の各紙が掲載した記事には、取材源として網中肇議員の名が記されている上に、19日に同議員が県政記者室に配布した資料が存在しており、同議員が関わったことが明白となっている。
上記の件が発覚するまで網中議員が所属する会派の幹部は、事実として知らなかったことが確認されているため、同議員個人の行為として捉えている。その点を十分認識した上で、上記の件に関して、顛末を記すとともに意見を、あくまでも一議員としての私個人の見解として、以下、順を追ってまとめることにした。

1 事実関係
6月20日の本会議において私(以下、水野文也)は、一般質問において事前に通告した「仕組み債について」を質問した。
対して当局は「4つの外郭団体が購入した仕組み債に現時点で32億円の評価損が発生」と答弁したが、それと同じ内容の記事が質問前日である19日付け朝日新聞夕刊に掲載、質問当日の20日付けの各紙朝刊が一斉に報じることとなる。
20日付けの朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞の各紙には、網中議員の調査で明らかになったと記されていた。通告後は質問に関しての変更は叶わないために、なすすべもなく私はそのまま質問することになる。

2 発覚までの経過
私は、質問通告書を18日正午の締切を待たず15日に議会事務局に提出。ただ、書類不備による修正を行ったために受領は18日となる。その後、県政記者室によると、19日の昼ごろに網中議員が「千葉県の指導対象団体が保有する仕組債に係る調査について」とする表題の資料を配布した。資料には平成24年6月19日、千葉県議会議員網中肇配布資料と明記されている。
なお、資料は調査結果等のほかに、「ご質問等につきまして」という項目に、当日の午後5時15分まで控室に待機、その後は携帯電話にて対応するとの旨が記されていた。

3 事実関係と経過から生じる疑問
(1)調査結果と同様の答弁が想定される質問が通告書により20日に行われるにも関わらず、なぜ19日に資料を県政記者室で配布したのか。また、時間を明記し質問を受け付けると配布資料に記したのか。
(2)所属会派が資料配布日である19日に代表質問を行ったにも関わらず、なぜ代表質問の項目として上程せず、独自で資料を配布したのか。

4 網中議員からの回答
20日に網中議員と直接話す機会があったので、3項に記した2点の疑問に関して私は同議員に質問した。
それに対し、同議員は(1)に関しては、私が事前に質問通告をしていると知らず配布した、と回答した。一方、(2)については、資料がそろわなかったため、所属する会派の代表質問の通告期限(18日正午)まで、調査結果がまとまらなかったと答えた。

5 4項に記した網中議員の回答から生じた疑問
3項の(1)への回答については、疑わしき部分は、類推になるため記述は避ける。3項の(2)への回答については、私自身、一部の担当部局からの資料を取り寄せることに苦労したため、詳細な資料をそろえるのが難しかったことは理解できた。しかし、答弁内容の数値(32億円の評価損)に関しては、通告前に私も得られた点から考えると、通告に間に合わなかったとする回答は不自然である。

6 発覚した後に私が質問するまでの経緯
19日の散会後、議会事務局から「仕組み債について」の質問に関係する内容の資料が、網中議員によって県政記者室で配布されたとの連絡を受ける。県政記者室所属の記者複数に問い合わせたところ、記事化を控えるといった動きもあったものの、既に、朝日新聞がその日の夕刊で担当部局に取材をもとに類推ではなく事実として報じていたため、報道機関の性格上、記事化を止めることはできず、各紙とも担当部局に取材を開始。記者から記事化せざるを得ないと言われ、その時点で万策が尽きる格好となった。
その後、朝日新聞夕刊で報道された部分のみ急ぎ自分のブログで発信(それ以外は、議会ルールに反するだけではなく、質問の材料を自分で減らすことになるため控える)、同時に議会担当と善後策を協議するが、通告後であるため質問の変更は叶わず、1回目の質問については答弁の内容が明らかになりながらも、そのまま行った。

私は名簿の職業欄にあるように、ジャーナリストを兼業しており、県政記者室を利用せずとも、現在、自身が不定期で執筆しているウォールストリートジャーナルにおいて、情報を知り得た質問当日よりもかなり早い段階で公開することも可能だったが、議員であるがゆえにそれをせず、あくまでも議会で追及することにした。

7 この件に関する意見
(1)網中議員の回答から、悪意を持って行為に及んだと断定はできないため、結果的に質問を妨害される形となった私個人に対する公式の謝罪を要求するものではない。しかし、質問通告後に行った当該行為は議会における質問を軽視するものであり、議会に対する謝罪は行うべきと思われる。なお、網中議員から非公式に私に対して謝罪があり、それについては誠意を感じたと付け加えておく。
(2)今後、このような事態が再発しないために、質問通告のあり方について、明確なルールを定めるべきである。たとえば、通告の締切後は議員の立場で知り得た県や公社、外郭団体等の情報について、該当する質問が終了するまで議会外部への公表を禁じることを明確化する必要があると思われる。

以上

平成24年6月26日

千葉県議会各会派代表者様

                       千葉県議会議員  水野 文也

この件に関して、かつての記者仲間や後輩、何人かに意見を聞きました。

そのうち、ある県の県庁内記者クラブに属している記者によると「通常、こうした内容については、記者が聞き出そうとしても、当局関係者は教えることはない。決定事項がある場合などは、当局は記者よりも先に、議員に報告する姿勢で、先に記者が知りえることはありえない」としていました。

千葉県も含め、各都道府県もこの記者が指摘するような状況にあるとすると、今回の行為は、百歩譲って私に対する妨害という点を許すとしても、議員調査権の乱用ということで許されざるを得ないのではないでしょうか。これをきっかけに、議員の調査に対して当局の答えが出にくくなる・・・そうならないことを祈ります。

この問題に関して、多くの方から励ましの声を頂きました。この場を借りて、御礼申し上げます。