【真実を発信88】お祈りの場所がしょぼい!

6月議会で一般質問をしたところ、ハラールに関係する団体から複数、問い合わせを受け、そこで出来た縁から、いろいろと話を聞くことができました。調べれば調べるほど奥が深く、マレーシア、インドネシアといったイスラム圏の東南アジアからの観光客、ビジネス客を政策的に誘致するというのであれば、真剣に取り組まなければならない・・・そう感じています。

そして、調査を重ねた結果、ハラール以前の問題として解決すべき課題が見つかりました。それは、イスラム教徒の人にとって大切な場所・・・お祈りの場所についてです。

別に、街中にもっとモスク建設を・・・というのではありません。日本の玄関口の成田空港にある“お祈りの場所”が、ひと言で語ると実にしょぼい・・・このレベルのもので、果たして政策としてイスラム圏の人々を日本に呼び込むなどと言えるのか、と疑問に感じました。

なぜ、このようなことを取り上げたかというと、昨日、グレード・アップ「ナリタ」活用戦略会議が行われましたが、30万回発着枠などいかに優れた施策を打ち出そうとも、“おもてなし”をするためのソフトの部分が欠落していれば、効果が薄れてしまうと思うからです。確かに、現時点ではマレーシア、インドネシアからの入国者数は、中国や韓国からに比べて1ケタ少ない状況ですけど、伸び率は高く潜在性は大、将来を考えれば、気持ちよく来てもらうための環境づくりは必須と言えるでしょう。

下段に、成田空港のパンフレットと、現在、ある“お祈りの場所”の写真を添付しましたので、ご覧になって下さい。

パンフレットの右下にある21番のSilence Roomがそれ。地図で場所を確認して下さい(添付した地図は第2ターミナル。第1ターミナルにも中央ビル5Fにあります)。喫煙ルームなどと同じ大きさ程度で、これで満足にお祈りができるとは思えません。

しかも、部屋には鍵がかかり、頼まないと開かない状態。最もムスリム(イスラム教徒)にとって困るのは、中に入ると、キブラというマークが示されていないのでメッカの方向がわかならいという点でしょうか。何も置いていない部屋、文字通りのSilence Room・・・ちなみに、関空内にある“お祈りの場所”にはコーランが山積みに置かれているそうです。

ハラールの質問をした後、何人かとイスラム教徒の方に会う機会がありましたが、1人もこの部屋の存在を知りませんでした。何度も行き来しているマレーシア人のビジネスマン(もちろんムスリム)でさえ、私と事務所スタッフと話して、初めて知ったといいます。これは改善しなければならないのではないでしょうか。

施設の改善は今後の課題になるとしても、認知度をアップさせる手段として、今すぐにでもできることがあります。それはSilence Roomという名称の変更・・・この英語表記では、何をするところかわかりません。せめて、お祈りすることができることがムスリムに一目でわかるようにする工夫が必要ではないでしょうか。

調べてみると、仏教国のタイでさえ、バンコクのスワンナブーム国際空港内の“お祈りの場所”はMuslim Prayer Roomと表記されています。異教徒に寛容というより、隣国であるための配慮と考えられますが、これは見習うべき点と言えるでしょう。

こうしたところに配慮することが、本当の意味での“おもてなし”であると私は考えます。ハラールについて、今後も積極的に取り組みますが、まずは、しょぼい“お祈りの場所”を何とかしたい・・・グレード・アップ「ナリタ」活用戦略会議の資料を読んでいてそう感じました。近々、要望として申し入れするつもりですけど、その前に、この場を借りて県の担当者にお願いします。