本日は、千葉県議会観光立県推進議員連盟の県内視察に参加しました。昨年は「房総のむら」のほか、震災の影響を受けた佐原地区を視察しましたが、今年は存続について議会でも議論されている「南房パラダイス」がメインです。さらに、渚の駅「たてやま」、JAきみつ味楽囲おびつ店と回りました。
南房パラダイスは、昭和45年(1970年)に開園した千葉県最大の動植物園で、現在は道の駅と併設しています。珍しい動物が来たり、貴重な体験が出来たり、様々なイベントが行われるのが特徴。シンガポール国立植物園と姉妹提携しており、マーライオンが目印となっています。
かつては、シャチのショーなどでおなじみの鴨川シーワールド、フラミンゴショーで有名だった行川アイランドなどと並ぶ房総半部南部の観光拠点として多くの観光客が訪れていました。しかし、レジャーの多様化などを背景に様子が変化します。2001年8月には、行川アイランドは閉園・・・鴨川シーワールドはシャチの繁殖で話題になるなど強力な集客力を誇っていますが、南房パラダイスは浮上のきっかけを掴めないままになっていました。
追い打ちをかけたのが東日本大震災。この風評被害で来客数が激減し、昨年9月に指定管理していたオーシャンベールが管理を返上、以降、千葉県の管理下にあります。それもこの10月末までの期限でしたが、このほど9月議会で審議される補正予算で、管理委託を平成26年3月末まで延長するための予算が計上されました(1億2000万円、17カ月間、規定予算と合わせ2億8348万4000円、債務負担行為2億8300万円)。
補正予算案の資料によると、この管理運営事業について、南房パラダイスの円滑な民間譲渡に向け、圏央道の木更津・東金間の開通やアクアライン周辺の大型商業施設の進出などを踏まえ、当施設の資産価値を見極めるため、管理委託を延長するとあります。
地元では、観光拠点の1つであるため、存続する声が多いのですけど、指定管理の委託者が返上したことからも、その経営状況、取り巻く環境はひじょうに厳しいものがあり、このまま県費を投入し続けて良いものか・・・疑問視する声も少なくありません。私は、改善が見込めないものは整理、或いは民間のノウハウによって立ち直りが見込めるものについては即時売却・・・という立場にあるものの、実際に、現状を知らなければ机上の空論に終わってしまうので、今回の視察は、この問題を考える上で貴重な体験となりました。
観て回った感想ですけど、東南アジアでよく見かける植物園に施設が似ているという点です。実際に、シンガポール国立植物園と姉妹提携しているということを聞いて納得しました。
ただ、正直に申せば、植物園はそれなりに楽しめるのですけど、リピーターが呼べるかどうか・・・ディズニーランドなどを持ち出すまでもなく、レジャー施設で重要なポイントはリピーター客の呼び込み・・・その点で弱いと思いました。そのためには、イベントや目玉となるアトラクション、アクティビティなどが必要でしょう。先述した鴨川シーワールドは、シャチを目玉に客を呼び込んでいるという例もあります。
ところが、何かをしようと企画しても予算がありません。施設の老朽化、とくに、海沿いにある施設のため、構造物に錆などが目立つほど。たとえば、海や遠くの富士山、大島なども一望できる展望タワーがあるのですが、震災による影響と老朽化で立ち入り禁止になっています。園の関係者によると、2500万円ほどで修繕可能とのことながら、予算がないため、放置された状態となっていました。これなど、津波対策の避難タワーへの活用も可能と思うのですが・・・。
補正予算では運営費が計上されたものの、設備投資までは回らず、予算がない→老朽化→魅力が薄れる→客の離散・・・といった悪循環に陥っている印象が強く、存続のためだけに運営費を投入するのではなく、スポンサーを探して売却、それが不調なら閉園も選択肢に入れるべき・・・施設を見てそう思いました。かりに、地元の観光拠点を守るために、売却を進めても“叩かれて”しまう可能性もあり、どう決断を下すか、いずれにしても議論を交わす必要があります。
この施設が都会のど真ん中にあれば・・・そう考えてみました。地元の市川にはレッサーパンダの飼育で知られる動植物園がありますが、市民の憩いの場になっています。南房パラダイスの施設も、気軽に寄れる都会のオアシスのような存在であれば、近所の子ども連れの親子のリピーターが見込め(バナナの生育や鳥と戯れることができる温室など、安近短のニーズに十分応えうる施設だと思います)ると思いました。要は施設がダメというのではなく、足を運んで客がリピーターになりうるか・・・それを考える必要があるのではないでしょうか。
地元の方にとって、重要と位置づけられる施設というのは理解できますけど、そうするには、かなり工夫しないと・・・というのが印象です。入園者減少を、さまざまな施策を打ち出して復活した旭川市の旭山動物園のような例もあり、復活は不可能とは言えないでしょう。「シンガポール国立植物園との提携」というのは1つの財産ですから、それを生かしつつ、新たな工夫を・・・売却を含めたあらゆる閉園しないケースにおいて、これがポイントになると考えられます。
さて、その後に訪れた渚の駅「たてやま」では館山市の金丸市長が、JAきみつ味楽囲おびつ店では、君津市の鈴木市長が、それぞれ出迎えて頂きました。この場を借りて、御礼を申し上げます。
渚の駅「たてやま」は今年3月にオープンした館山の新しい観光スポット。今日は天気に恵まれ、館山湾を一望できる展望デッキから富士山を眺めることができました。
JAきみつ味楽囲おびつ店は、県内にあるJA直営店で2番目の売り上げを誇り、訪れた時も大勢の買い物客で賑わっていました。特産の新鮮卵、青卵が人気・・・お米コーナーでは、県内産の新米が販売されていました。また、敷地内には、おびつの名水をくみ取ることができ、これを目当てに訪れる買い物客も多いそうです。
以上ですが、今日の視察、今後の観光政策を語る際の参考にします。