成田国際空港を視察

去る16日に成田国際空港を視察しました。目的はLCC(格安航空会社)就航後の様子と、何度かこのブログで記したサイレンスルームを見学するため。このほか、案内して頂いたNAA(成田国際空港株式会社)のご配慮で、成田空港の現状と将来を考える上で必要な施設(普段は見学できない滑走路や旧管制塔など)も合わせて視察しました。

成田空港は最速で2014年度までに年間で30万回の発着が可能とするために、設備増強が進められています。航空会社が2カ国間、地域内の各国において空港の発着枠、航空路線、便数などを決められるオープンスカイ協定を進展させるなどして、国際競争力を高めるよう努めてきました。

そして、最近、注目を集めたのがLCCの就航。これまで成田空港は国際線オンリーのイメージが強かったですけど、LCCによって多くの国内地方都市と結ばれ、以前に比べて利便性が高くなりました。LCC専用ターミナルを建設、2014年度中に供用を予定しています。

LCCは、コストを抑えることで文字通り格安で搭乗できる訳ですが、実際、使用されているカウンターなどを見ると、その部分のみ天井が剥き出しになっていたり、コスト抑制が図られていることが理解できます。その一方で、首都圏で初の専用の出入国施設やラウンジなどを備えたビジネスジェット専用ターミナルを設置するなど、幅広い客層のニーズに応えられるように努めました。

このように、数々の施策が打ち出されている中で、課題として注目したのが、サイレンスルームです。

6月議会で筆者は、ハラール(イスラム教で食べられるもの)に関する質問をしましたが、その際に注目したのが、空港におけるお祈りの場所。イスラム教徒は1日に5回、メッカの方向を向いてお祈りをします。そのため、長時間、待つこともある空港内において、彼らはお祈りの場所が欲しいと考えられるでしょう。

空港内には、その場所として「サイレンスルーム」という名の施設を提供。とくに、特定の宗教を念頭においた訳ではなく、一般でいう多目的室という位置づけです。ただ、このネーミングでは、何をする場所だかわかりません。世界の人口で約3分の1を占めるイスラム教徒をビジネスや観光で日本に呼び込むためには、彼らの生活慣習に配慮する必要があると考えられるので、せめて、名前を“お祈りができる場所”とわかるようにして欲しいと要望しました。

実際、関西国際空港で同様の施設の名は「プレイヤールーム」と、お祈りをする場所とすぐにわかります。世界に目を向けると、バンコク空港はタイが仏教国でありながら「ムスリム(イスラム教徒のこと)プレイヤールーム」と名付けた施設があります。成田のサイレンスルームは、特定の宗教を意識させないよう配慮するため、法律上でも問題がないように弁護士と相談して決めたとか。他の宗教との公平性を保ちたいというのはわかりますが、これは宗教ではなく生活慣習の相違で捉える発想でなければ、イスラム教国の人々を誘致することは難しいでしょう。

こうした祈祷の場だけにはなく、香港ディズニーランドがハラール対応を強化するなど、アジアのライバル国、地域はイスラム圏を意識・・・このままでは日本は後手を踏むことは想像に難くありません。

視察中に、実際、空港利用者が“お祈り”をしている場面に遭遇しましたが、サイレンスルーム、利用されるのは1日に1~2回程度と言います。方位は示されながらも、メッカの方向がわかりません。聞けば、関空ではコーランが山積みになっていますが、成田は殺風景。室内に注意書きなどを記した案内板も4カ国語対応ながら、肝心のアラビア語、マレー語、インドネシア語などの表記がありません。利用客が、ほぼイスラム教徒に限られるのであれば、せめて、彼らが利用しやすいように名前だけでも変えて欲しい・・・そう考え、NAAに対して要望しました。

今回の視察は、解散で選挙モードとなる中、超党派で行いました。考えが同じであれば、党派を超えて共に政策を進めるべきと思っております。

私はサイレンスルームの改善を政策として進めようと考えていますが、そのためには、空港行政に明るい地元議員のご助力が欠かせません。セッティング、同行して頂いた自民党の小池正昭議員(成田市選出)、實川隆議員(山武郡選出)のお2人に感謝しております。小池議員はお住まいが三里塚で、空港に関して本当にお詳しく、視察中にいろいろとご教示して頂きました。さらに、NAAの関係者の皆様にも、この場を借りて御礼を申し上げます。

県民の貴重な財産であり、千葉県はもとより日本を発展させるために重要な成田空港・・・より活性化する必要があると改めて感じました。