【真実を発信300】柏崎刈羽原発と越路原プラントを視察

県議会の超党派の議連である千葉県資源エネルギー問題懇話会では、10~11日の日程で県外視察を行い、メンバーの1人である私も出席しました。今回訪れたのは新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原発と、国際石油開発帝石の天然ガスを採掘・精製する越路原プラントです。

初日に視察したのは、柏崎刈羽原発でした。議連のメンバーには、原発推進派や私のような反対派がいますが、賛成、反対のいずれにとっても、まず原発とは実際にどのようなものか知り、その上で議論する必要があります。たとえば、使用済み核燃料をどう処理するかといった問題は、どちらの立場に立っても逃げることはできません。一昨年、六ヶ所村を訪れましたが、それに続く原発関連施設の訪問となりました。

柏崎原発に働く人は現在5413人(うち東電社員1159人)で、この中で刈羽村の人は約6割、全体の8割が新潟県民が占めています。六ヶ所村を視察した際にも記しましたけど、まず、反対派の立場では、雇用問題について考えなければなりません。東京電力では再開を目指していますが、行政の方針で廃炉とした場合は、当然、行政が雇用をサポートする必要が出てきます。

原発そのものに関しては、施設内の入退場はテロ防止、安全上の観点から厳重なチェックが行われ、写真撮影は一切NGでした。目下の関心は安全面に関してで、不測の事態が生じた場合の「止める」「閉じ込める」「冷やす」を基本に、徹底した管理を実施。運転休止中も訓練を怠っておらず、視察中も様々な訓練が行われていたのを目撃しました。

福島第一原発事故によって、力を注がれたのは津波・耐震対策です。柏崎刈羽原発も海沿いに立地しており、対策を実施。311以降で2800億円投じて増強工事が行われました。具体的には、高さ12mの高さだった防潮堤を3mかさ上げ。福島では、電源装置が不能になりコントロールできなかったことが最大の問題となりましたが、とにかく電源を守ることに力を注ぎました。

原発は、オイルショック以降、日本のエネルギーコスト削減に寄与し、我が国経済の発展に寄与したのは否定できません。最近の経常収支赤字も、化石燃料の価格高騰と電力事情が絡んでいると思われます。しかし、使用済み燃料も含めて安全面が100%担保できないとなれば、かつて、石油から原子力に軸足を移したのと同様、今回も原子力からの転換を考えるべき・・・これが反対派の主張です。化石燃料では環境問題も生じますので、そこで強調されているのが自然エネルギーでしょう。

今後の議論としては、原子力依存の現状を、このまま推進するか、オイルショック時のようにエネルギー転換を目指すか、経済的な側面を踏まえ、その結論を下すことになるでしょう。安全面をより厳格にすれば、原発のコストも上昇、一方で自然エネルギーは新たなビジネスチャンスも広がる・・・この観点から脱原発を目指すべきと私は考えています。

2日目に視察したのは、国際石油開発帝石長岡鉱場の越路原プラントです。国内最大の天然ガスが存在する南長岡ガス田に位置しており、同プラントでは40坑あるガス井から約30年掘り続けてきました。累計のガス生産量は191億N㎥で、プラントの関係者によると、推定埋蔵量からあと30年ほどは採掘が可能とか。国内で採掘される天然ガスの約4割を生産しています。

ガス井は付近の田畑の中にに点在。プラントで精製したガスはパイプラインを経由して首都圏に送られています。同プラントでは発電施設もあり売電も実施。採掘、精製、発電を行う国内でも他に例をみないプラントと言えるでしょう。

1本のガス井を掘削するために約20億円(人件費を含めると30億円)の費用、約200日の日数を擁します。ビジネスとしてリスクが大きいのは論を待ちません。関係者によると、国内では有望なガス田が見当たらず、現在、同社では豪州やインドネシアで開発を進めています。

他方、千葉もガス産出県ですが、ガスが水溶性のため、地下水を組み上げる格好となるため地盤沈下が問題になっています。南長岡ガス田は岩盤の隙間から凝縮されたガスを取り出すことから、地盤沈下の影響はありません。

いずれも資源に乏しい我が国にとって貴重・・千葉のガス田は有望で、長岡もいずれは枯渇することになるため、千葉のガス田も地盤対策を施しつつ、大切に活用したいところです。