【真実を発信308】「安心・安全」を提供する石巻漁港・・・地震津波議連の視察(1)

5月11日~13日の日程で行われた、千葉県議会地震・津波対策議員連盟の県外視察に参加しました。今回から「真実を発信」はシリーズでその報告を行います。

昨年もちょうど今頃、東北地方の北三陸を中心に被災地を訪れました。宮古市や大船渡市、気仙沼市、そして後方支援を行った遠野市などを回りましたが、今年は昨年の続きという格好で訪れたのは南三陸・・・石巻市、南三陸町、東松島市、そして福島原発の影響が大きかった南相馬市、さらに、避難区域である大熊町住民が避難している仮設住宅がある会津若松市などを回ったのです。

前回の被災地視察は、津波による被害の大きさ、それに対する行政、住民の取り組みなどを見て回りましたが、今回はそれに原発事故の影響も視察の内容に加わりました。

最初に感想をひと言で述べますと、昨年と視察場所・時期は異なるため一概には言えないながら、復興にスピードが感じられない・・・となります。東日本大震災から3年以上経過したのにも関わらず、苦しんでいる人が少なくないという現実でしょう。

さらに、話を聞いて、行政の姿勢に復興の妨げになる部分があると感じられました。スピードについては、人手や予算の問題など物理的な制約があるものの、行政の姿勢については、変えてしまえば、解決に向けて進む課題も少なくありません。こうした点に行政改革のメスを入れる・・・改革を推し進める政党の所属する私にとって、この部分は声高に訴えかけていきたいと思いました。

さて、今回の行程をざっと記すと、初日が石巻漁港、大川小学校、南三陸町防災対策庁舎、2日目が航空自衛隊の松島基地、南相馬市、浪江町、そして最終日が会津若松市の仮設住宅です。なお、視察には、案内人として塩釜市民ボランティア「希望」の代表である會澤純一郎氏が同行され、被災地の様子を解説して頂きました。會澤さんに、この場を借りて、御礼を申し上げます。

まず、最初に訪れた石巻漁港ですが、ここには震災当日、8メートルの津波が押し寄せました。石巻市について触れると、人口は約15万人で宮城県内では政令市の仙台市に次ぐ都市。国が管轄する漁港、工業港を擁し、水産業と工業(日本製紙の工場などがある)で発展してきた経緯があります。

震災前の石巻市はGDPで5791億円と推定されましたけど、震災後はほぼ半減、漁港関係では、44あった漁港は全滅、2000社の水産加工場も全滅したそうです。市全体の被害状況は死者3428名、行方不明者499名、計3927名。全壊住宅18900戸、大規模半壊2089戸、半壊752戸、一部損壊は9750戸、住宅地・市街地の約46%が浸水し、最大120㎝の地盤沈下が起きました。

漁港については、国の事業で予算額210億円で建屋を建設していますが、課題となるのはこうしたハード面だけではありません。せっかく、施設が復旧しても肝心の水産物が売れなければ・・・そう、福島第一原発事故による水産品の風評被害が心配されるのです。

石巻漁港では、石巻魚市場の須能邦雄社長が中心となって、放射能検査を徹底して行ってきました。昨年9月には、5000万円の放射能連続検査機を導入。コンベア式のこのシステムによって、1時間に1400匹のスピードで検査が実施できるようになり、「安全・安心」なさかなを提供できるようになりました。

「東北で獲れた魚はちょっと」・・そうした不安を払しょくするための取り組みを行っている事実を、私たちは知るべきでしょう。むしろ、検査をしていない産地のさかなよりも、石巻魚市場から食卓に届くさかなは安心であるということが言えると思われます。

さらに、現地の雇用に関しても考えされられる、目からウロコといった話を須能社長から聞くことができました。石巻もそうですが、被災地はよく雇用問題が発生しているという話を聞きます。一般的に雇用問題と言えば、働く場所が無い、失業者が多い・・・ということが連想されますけど、ここはそうではありません。石巻での”雇用のミスマッチ”は反対の意味なのです。

職場がないのではなく、人手が足らないのが現状。震災以降、他地域の仮設住宅に避難、住民の市外転居などによって、雇用する場が復旧しても働く人が減っていて、事業が思うように立ち行かないといったケースが少なくありません。被災地の雇用問題について、世間では誤解があるというのを須能社長は強調していました。

さて、石巻市の被害に話を戻すと、街に壊滅的な打撃を与えたのは、津波そのものだけではなく津波火災です。津波火災のメカニズムを聞いたところ、最大の原因は自動車とか。自動車の各部位がスパークしてガソリンに引火、それが貯蔵ガスや石油に及び、大規模な津波火災を引き起こしました。震災当日、津波が襲った後、自動車のクラクションが鳴りっぱなしで大きな騒音が生じたそうです。こうした事例をよく研究することが、臨海部における津波火災防止の第一歩に繋がることは言うまでもありません。