【真実を発信312】人の姿が見えない街並み・・・地震津波議連の視察(5)

地震津波議連の2日目、松島基地の後は宮城県から福島県に移動し、津波だけではなく福島第一原発事故の影響による放射能問題も尾を引く、南相馬市を視察しました。

南相場市は北から鹿島区、原町区、小高区の3つの区から構成されていますが、今回は今なお避難指示解除準備区域となっている小高区を中心に回り、バスの中からだけでしたが、お隣の浪江町も視察。案内人として、南相馬市の小川尚一市議会議員が同行、説明をして頂きました。小川議員にこの場を借りて、お礼を申し上げます。

南相馬市は今年4月3日現在、住民基本台帳の人口が71561人、うち、市内居住者が47045人、市外避難者が13975人、転出者が7477人、所在不明者(死亡者も含む)が3064人となっています。原発事故による影響の印象が強い自治体ですが、地震・津波による被害も甚大で、死者は1088人に達しました。

前述したように、3つの区のうち小高区は、福島原発から半径20キロ内に位置し、避難指示解除準備区域に指定。この区域は人の出入りは可能であるもの、宿泊はできないため、事実上、住むことはできません。浪江町については作業者しか入れず、この地域は津波の被害を受けず街並みがそのまま残ったところでも、人の姿が見られないのです。

同市においても仮設住宅は建設されました。ただ、原発から30キロ圏内には建設できません。そのため、その圏外に位置する鹿島地区にあり、今年の4月4日現在、仮設住宅は設置している3312戸のうち入居者戸数が3074戸、入居率92.8%となっています。

人が居住することができない小高区や浪江町、将来は指定解除によって住めるようになったとしても、その後の問題は少なくありません。再び農業を行ったとしても、「福島県産」ということで買ってくれるかどうか・・・農家の方たちは心配しています。そのため、再開する意思がない農家も少なくないと聞きました。

市としては、こうした農家のいわば耕作放棄地に関して、メガソーラーにしたいという希望がありながらも、農水省は農地転用を認めません。農家が農業はもうやらないという意思表示をしても、官僚は農地の回復作業を粛々と進めているとか。このように“官庁の権益”が復興の妨げになっている例が目立っています。

たとえば、塩釜市では10年以上前に放棄された田がある無人島に防潮堤を建設する案が通過し、問題となりました。私は、官の無駄を省くことを政策面で日頃から訴えていますけど、これなど典型例と言え、官僚主義を打破する改革を進める必要があると、被災地の状況をみて改めて感じた次第です。

農業の話に戻すと、福島県では放射能に関して全量検査を実施・・・地産地消で学校給食でも食されています。イメージだけで判断してはいけません。「他県とは違い全量検査をやっている福島県産は、実は日本で一番安心して食べることができる」というコメントが印象的でした。