【真実を発信355】経過措置、市民に対して厳しくないか?・・・市川市議会を傍聴

昨日は、学生インターンの勉強も兼ねて、市川市議会を傍聴しました。9月定例議会の開会日です。大久保市長による議案説明並びに各会派による質疑が行われました。

質疑に関しては、県議会の9月定例議会の議案説明会があったため、傍聴したのはトップバッターの会派、みらい(質問者は荒木詩郎議員、並木まき議員の2名)だけです。

今議会は、みんなの党を含めて8会派が質疑の通告を行っていました。この2党のほか、民主・連合・社民、公明党、日本共産党、自由クラブ、自由民主党、無所属の会・市民ネットで計8会派。残りの緑風会、結いの党など5会派は行う予定がありません。今回は市有施設の使用料引き上げに関する条例など、市民の間で関心が高い条例案があるのにも関わらず、質疑をしないというのはどういうことか疑問に思いました。

さて、この条例案(議案第13号)のほか、職員給与改定に関する条例(同11号)を質疑の対象とする会派が多く、ちょうど、傍聴したみらいがいすれも質問していたので、これらを取り上げることにします。

11号の職員給与の改定については、全国の自治体の中でも有数の高さを誇る、市川市の職員給与水準を是正するために行うもの。なぜ、市川市が高かったかと言えば、答弁にもあったように、国家公務員に準じる他の自治体と異なり、独自の給与票を適用していたためです。詳細は割愛しますが、今回の議案ではこれを国家公務員の俸給表を基本とした給料表に改めるとしました。併せて自宅に係る住居手当を廃止するとしています。

当局は、これらを実施することによって、10年後の平成36年に正規職員の給与総額は現在に比べて4億3300万円減少、人件費比率は22.8%から22.5%に0.3%引き下げると答弁していました。

さて、続きましては、既に市民の間から反対する声が多い公民館やスポーツ施設、斎場など市有施設の使用料引き上げに関する13号を論じます。

施設使用料に関しては、有識者などから構成される市川市政戦略会議から「民間企業の経営原則に倣い、全てのコストを計上するべきである」との提言に従い、引き上げを提案するものです。

同会議がまとめた答申によると、たとえば、250円の公民館使用料について、コスト面からの算出で3600円、うち市民負担率を50%として1800円にするのが妥当・・とありました。経過措置が必要とも明記していますが、それも微増ではなく3~4倍のドラスチックな料金設定にすべきと示しています。

市当局はそれに沿って、議案では「3倍を上限」に使用料を設定、それによって、公民館は概ね2倍台の後半、スポーツ施設や斎場は現行の3倍に引き上げられることになります。

私は、受益者負担から相応の負担をするのは当然と考えており、それ自体は反対するものではありません。市が負担する金額は税金です。それが多ければ、利用しない人との公平性に問題が生じるでしょう。また、維持・管理のほか、老朽化した場合の建替えコストを誰が負担するのかについて、市の将来的な財政状況を合わせ考えると、利用者が等しく負担すべきだと考えられるからです。

しかし、その正論を発しても、市が不必要と思われるコストを放置したままならばどうでしょうか。先に削るべきところを削って、それでもなお厳しい時に、市民に負担をお願いするのが筋だと思います。そうしないうちの引き上げ、納得できるものではありません。

さらに、今回、経過措置について、感じるところがありました。いきなり3倍に引き上げられる訳ですけど、これ自体が緩和措置。ところが、議案11号に示された住宅手当廃止に係る緩和措置は、現行の10000円から1年ごとに7000円、6000円、4000円、2000円と段階的に引き下げることになります。

これに比して、市民に負担を強いるのであれば、せいぜい初回の引き上げ(答申には緩和措置で3~4倍とあるので、いずれ再引き上げが論じられる可能性があります)は感覚的に50%増程度が妥当。最終的に原稿の7倍に引き上げるとしても、上限を2倍とするのがいいところでしょう。逆に引き上げ率3倍が適正とするのであれば、住居手当の緩和措置も当初より半減以下にしないと筋が通らないと考えられます。

職員に対する経過措置は緩やかな半面、市民に対する緩和措置はシビア・・・これは到底納得できるものではありません。私は受益者負担に関しては必要と思っておりますが、それはあくまでも筋を通すというのが前提です。

答申には「見直し初年度の来年度については、これまで通りの軽微な引き上げ幅ではなく、冒頭に述べたような背景を踏まえ、3倍、4倍といった思い切った設定にすべきである。その上で、次年度以降、それぞれ社会経済情勢等を十分に勘案しながら、引き上げ幅を検討していくものとする」とありました。

議会がどう判断するのか見守りたいですが、3倍の引き上げに反発する声が多い以上、当局は引き上げるにしてもその率について再考すべきと思っています。