今週の月曜日、地元の石崎ひでゆき市議会議員とともに、千葉県立市川昴高等学校を視察しました。
なぜ同校を視察したのか・・その理由を最初に記すと、統合して誕生した学校で、地元の評判が「一緒になってから良くなった」という声が多く、今後、少子化の進展によって県内で高校で統合するケースが増えると予想される中で、先進事例になると思ったためです。
さて、市川昴高校は、市川西高校と市川北高校が統合して平成23年4月に誕生。今年で4年目を迎えます。校舎は西高校を利用し、廃校となった北高校の校舎は、減築を活用してリニューアルを行い、大野特別支援学校に衣替えしました。
市川昴高校の最大の特色は、県内公立高校として初めて認定を受け、国際交流を中心に異文化理解教育や人権教育等、持続可能な社会を築く未来の人材づくりのために必要な価値観を育み、自発的で実践的な学習に取り組んでいます。昨年度からは、千葉県教育委員会の事業である「グローバル人材プロジェクト」の実施校にもありました。県立高校としては、同校のほか、佐倉南高校、流山おおたかの森校、千葉東高校、国分高校が認定されています。
カリキュラムには、選択事業として高校では珍しい、中国語、韓国語の授業が選択可能。以前、視察した県立松戸高校の演劇の授業もそうでしたが、目的を持った生徒が履修、卒業後に進学先でも中国語、韓国語を学ぶといった生徒が少なくないそうです。
ただ、残念なことに最近では、日中、日韓の関係悪化に伴い履修する生徒が減少しており、このまま減り続けた場合、存続が難しくなるとのこと。課題が無い訳ではありません。
ちょうど訪れた10日は、メロス言語学院留学生との語学交流会が実施され、中国語、韓国語を選択している生徒と、中国人、韓国人留学生と交流する授業が行われていました。これによって、ネイティブとの会話を行うことができます。この授業を参観をしましたが、生徒はとても楽しそうに授業に参加していました。
一方、同校は部活動も盛んです。運動部などにお邪魔しましたが、同校で特に知られるのが、県内でもコンクールなどで強豪とされる吹奏楽部。地元のお祭りなどイベントでおなじみで、同部は去る3日に行われた市制80年記念式典においても演奏したほか、出初式でも毎年活躍しています。地元での貢献度も高く、地域との交流の懸け橋にもなってきました。
統合前と統合後・・何が変わったかという点を、統合前の西高時代から赴任している先生によると、明らかに生徒の生活態度が変わったとか。かつては、1人の生徒で年間100回遅刻をする生徒がいたとのことですが、現在では全体で年間50程度となるなど、遅刻の数が大きく減少したとのことです。授業中、集中できずに歩き回るような生徒も居なくなりました。
その背景として、統合後に生徒が「新しい学校を作る」という意識が高くなった一方、たとえば、入試の際に行う面接で、以前に比べると目的、動機をはっきりさせる生徒が増えたことが挙げられています。
ヒアリングや実際の授業参観を踏まえ、石崎市議、私、先生方と意見交換を行いました。そこで私が述べた感想は、「ユネスコスクール認定といった特色性を強くしたことで、”入り”の部分で意識の高い生徒が入学するようになり、結果的に学校全体が変化した」というものです。普通高校はやはり特色があれば、目的を持った生徒が集まり、意識が変わるといったところでしょうか。
学力偏差値の高いトップ校は、大学進学という目的をしっかり持った生徒が集まる訳ですが、それ以外の普通高校もそれぞれ特色を打ち出せば、中途退学や不登校といった問題を減らすことができるのではないか・・そのように感じました。
それぞれの学校のカラーは簡単に変えることはできないかもしれません。統合したがゆえに、市川昴高校は意識改革が実現できたとみることが可能で、今後、県立高校の統合を行う際のモデルケースになると思いました。
最後に、柴田校長はじめ、授業や部活を見学させて下さった先生、関係者、そして生徒の皆さんに、この場を借りてお礼を申し上げます。