【真実を発信39】幕張メッセ

真実を発信以前、このブログにおいて、幕張メッセの国際展示場事業に関し、稼働率が34%(2010年度)まで落ち込んだと記しましたが、特別会計で計上されるこの事業、稼働率をアップさせることが必要なのは言うまでもありません。

実は、稼動率は34%でも一般事業会社における営業利益ベースでは、わずかながら黒字を確保している状況。歳入のうち使用料が27億5900万円、それに対する歳出は、運営業務委託費13億7200万円、光熱費7億9200万円、施設整備費6億0600万円で、歳入、歳出いずれも自動販売機収入などその他を加えると、差し引きでゼロに近いですが、黒字となっています。

それでは、なぜ、問題になっているかというと、歳出に建設費用などを返済する公債費14億4300万円が存在するからです。10年度の場合は、これを千葉市負担金6億8000万円、一般会計繰入金7億6400万円でカバーしました。

県当局によると、公債費も吸収するような、経常利益ベースで黒字化するために必要な稼働率は60%と試算しています。これだけ稼動すれば、稼いだ分で借金も返済でき、健全な経営実態となるのですけど、不景気などによる大型イベントの減少、ライバルとなるコンベンションセンターの存在──などを踏まえれば、いかに営業努力をしようとも60%達成はとても難しいと言わざるを得ません。

関係者の名誉のために記しますけど、営業努力を一生懸命しています。収益源となる大型の毎年継続するイベントについては、東京モーターショーこそメッセから東京ビッグサイトに流出したものの、1─8ホールすべてを使用する「CEATEC JAPAN」などは当面、留まる見通しとか。

来年度は「恐竜王国2012」(7月21日~9月23日)「プラレール博」(4月27日~5月6日)、「ニコニコ超会議」(4月28日~29日)などが新規イベントとして開催されます。そのほか、閑散期には幕張メッセ独自で企画したイベントも開催するよう工夫を重ねています。こうした努力から、40%程度まで稼働率が回復する見通しとなりました。

オープンしたバブル期には、稼働率が60~70%に達したそうですが、現在のイベント会場全般を取り巻く環境を踏まえると、そのような時代が到来するとは思えません。当初は計画通りの運営となった施設ですけど、その後時代が移り、収支構造を見直す必要が出てきたのではないでしょうか。

60%で黒字化──このような非現実的な目標を掲げることは止め、50%に下げる(と言っても、この数字も厳しく、根本的に見直す必要があるでしょう)、或いはフローとストックを分離──等々、構造的にあり方を考える時期にきたと言えそうです。